第103話 器!

 ……確かに、生身の人間が、どうやって宇宙ここまで来たのかは疑問だった。 ゆうきちゃんと同じならば納得だ。


もとむ様は特務機関『九十九』にて自らが実験台になる事により、数多くの業績を残されました。 しかし、その為に体組織……特に脈管系をいためられ……それでも任務を継続されていました……」


 ……真面目な伯父さんらしい……。


「……そんな折、とある組織から、発動確率『100%』の特務機関設立が厳命されました。 ……もとむ様がどうしても超えられなかった99%の壁……。 求様は、血の涙を流し、せめて行く末を見守りたい……と仰っしゃりました」


『そうか……それを叶える為に……」


「はい。 東矩とうがね祐希ゆうきが中心になって開発していた『完全自立思考アプリ』のプロトタイプとして、求様のロジックを組み込み『もとむくん』と名付け、運用を開始しました……しかし……」


 ……そう……ここで問題が発生した。 


『もとむくん』が、オリジナルである求伯父さんの身体を憑代よりしろにして暴走し、伯父さんの悲願だった『100%』を超越した『AI』による『不死身の100%超』を叶えるべく、邪魔になる俺を排除しようとし、祐希さんを遠隔操作し始めたのだ。


「『もとむくん』は、大きく2つの欠陥がありました」


 ……2つの……欠陥?


「……1つは『能力者』の思考でロジックを組んだ為、その時点で『人類』を超えてしまった事…… そして、もう1つは……『うつわ』が存在しない事が判明した事……です」


 ……う……うつわぁ?


「巨大で強力な『愛』を収納する為の『器』……です」

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