第100話 沈黙!

 ……やはり……何かが可怪おかしい……。


 伯父さんは、さっきから自分を『ダルメシアン』の一員のように言っているし『全宇宙を支配する!』など、ギャグマンガ以外に聴いた事が無い。


 ……そもそも、何か重大な事件が起きる時、俺の心は必ず何かを必死に語りかけてくれていた。 それは俺に『潜在性能力』としての『時間と空間を超越した視覚能力』があるからだ。 これは誰かに何らかの危機が迫った時に、まれに発動する、不完全な能力だ。 (第67話『急停止!』をご参照下さい)


 ……とは言え、今回のような大事だいじの時は、100%発動していた。 それは、俺の行動原理が『誰かが悲しむ顔を見たくない』に徹頭徹尾しているからだ!


「地球上の生命が絶滅してしまえば、悲しむ人すら居なくなる」……と言われるかも知れないが、そうでは無い!


 それを一番悲しむ人が一人……確実に存在している!


 その人こそ、俺が何よりも、誰よりも悲しませたく無い、たった一人の大切な女性ひと……


 東矩とうがね祐希ゆうきさん……だ。


 ……俺が祐希さんを助けるために『ダルメシアン端末』を破壊し、その為に猛毒が拡散して、全生命が死に絶えた……


 ……祐希さんがそれを知れば、彼女は恐らく俺を一切責めること無く、俺の前から去ってしまい、二度と会えないだろう。 何故なぜなら彼女は、そっと、誰にも看取られずに責任を取って……。


 ……そんな悲劇が起きるなら、俺の能力が黙っている筈が無い! 『俺』なら、必ずこの悲劇を止めようと、必死に声を上げるだろう!


『便りが無いのは良い便り』……と言うことわざがある。


 もし、俺の心が沈黙し続けるのであれば、それは俺が『正しい選択』をしている……と言う証拠では無いか?


 そうだ……絶対に、そうだ!


 ……そして俺は、自分に向って激を飛ばした!


 俺は、もう一度『俺』を信じるぞ……と!


 ……そして俺は、ある考えを試すべく……『NGニードル・ガン』の短針全てを、漆黒の地球に向け、斉射した!

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