第98話 孤立!

 本当に全ての生命が絶滅してしまったのか、或いは俺が、ただ単に騙されているのか……現時点で調べる方法は無いだろうか?


 ……確かに、ついさっきまで通信機に入っていた混信や、様々な音声は途絶してしまった。 『ザーッ』という雑音だけだ……。


 地表を見ると、たまに稲光のような閃光は見えるが、町明かり等は全く見えず、まるで暗黒の星のようだ……。 


 ペガサスの燃料も潤沢にあるわけでは無い。 ヘタを打つと、祐希さんを救助に行けなくなり、帰還すら出来なくなる!


 とにかく、一刻も早く誰かと連絡を取りたい! 

 

「勝目博士! 応答して下さい! 勝目博士!」


 俺は、勝目博士から借りたヘッドセットで必死に呼びかけた。


 このヘッドセットは、蝕(地球の裏側)に入らない限り、通信が可能……との事だったのに……。


「勝目博士! 勝目博士~っ!」


 ……くそっ、返事が無い!


「ゆうき……」……と言おうとして、俺は口をつぐんだ。


 もし、皆が生きているのならば、ゆうきちゃんが嘘をついている事になる! 極力ゆうきちゃんや、AI機器を介さずに生存を証明したい。


 ……しかし、時間ばかりが過ぎ、妙案も浮かばない。


 悲観と焦り……そして孤独感が俺の心を占めていた……。

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