第84話 危機!

「……かけるさん! 捕捉している敵ダルメシアン端末の掃討が完了しました。 お見事です」


 ……ゆうきちゃんの音声が響いた。


『ペガサス』は俺の100%の能力『ロケート・スティッカー』で完全に外殻を固定しているので、宇宙服のヘルメットを外しても呼吸に問題は無い。 今回は、敵とは言え可愛いワンちゃん型ロボットを破壊してしまう姿を見たく無かったから、偶然、ヘルメットが蒸気で曇ったまま、視ないようにしていたのだ。


 ……ヘルメットを外すと、顔に涼しい風が当たった。


 ふぅっ……気持ち良い!


「ゆうきちゃん、ダルメシアンを何機破壊したかカウントしてる?」


「はい。 把握している戦果は、101体中50体完全消滅、20体完全破壊……です」


 ……残数、31……か。


「ゆうきちゃんは、残った奴等の行動予測は可能?」


 ……俺としては、早く祐希さんを『軍事監視衛星 サルタヒコ』に迎えに行きたかった。 しかし、完全に危険が去ったわけではない。 残った奴等を探し出して破壊するか、今回のようにおびき寄せて叩き潰すか……どちらが効率的かを考えあぐねていた。


「はい!……今回の戦闘に参加せず何処いずこから虎視眈々と戦況を把握していたであろう残存端末は、恐らく次回から駆さんの『ロケート・スティッカー能力』を考慮に入れた作戦を練った上で攻撃して来るでしょう。 ……残存端末が攻めて来た場合の勝利確率は、恐らく5%未満……こちらが優位に立てるうちに索敵し、各個撃破すべきと考えます。」


 ……なるほど……ゆうきちゃんの仰る通り……だな。


「残存端末の捕捉は可能?」


「はい。 現時点で……67%……20体の位置予測は完了しています」


「よし! そいつらを破壊しよう!」


「駆……さん! 注意喚起!」


 ……!?


「『NG』の針残数が、イエローゾーンにまで低減!」


 げっ!

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