第50話 聖 女


【58日目 シリトン市街 午前10時】



 イースさん達やカルロネ司祭を強化してサーラホームの居住性を向上させた私はマリアーニ城塞に戻ることにする。



「じゃ私はマリアーニ城塞に戻るよ。ホームに立てこもって安全を保ってね。じゃみんな、何かあったら神託でよろしく。サーラさんよろしくね」



 サーラさんとにっこり微笑みを交わしながら転移していく。ああ、この笑顔もあと3、4日見れないのか。









 マリアーニ城塞の領館の一室で実体化する。



「ただいま、グレタさん、マルチナさん、エミリーさん。早速シリトンに向けて出発したいけど、まずマルチナさんを強化しよう」


「はいお姉さま。よろしくお願いします」




 ほー。同一の身体というのが影響しているのか心の中のマルチナさんとの繋がりのせいなのか。マルチナさんとは共鳴しあっているような感じがする。言葉を交わすたびに喜びが溢れてくるなー。これはもう離れがたいぞ。帝都にもどってからどうしようかなあ? 


 ではマルチナさん強化ー転写!


 基本はキアラさん標準の使徒タイプ。マルチナさんって使徒になってくれるかな?皇女だから無理かな。巫女だったら良いかな?



「マルチナさん、いま強化終わったからステータスを見てくれる? 一応グレタさん基準で転写したから私より魔術は強くなってます」


「はい♪ 凄くたくさんありがとう! 使いこなせるように頑張るね」


「うんうん。使いこなせなくても私が守りますよ! マルチナさんは私と一心同体。切り離すことできませんからね! 大丈夫です任せてください! 

それでね、マルチナさんは帝国皇女殿下だからダメかもしれないけど、使徒か巫女になって欲しいんだ。どうかな?」


「アタシは皇女である前にお姉さまの妹ですよ? 何の遠慮もいりません。どっちが良いのですか? 私は違いが分からないので、私の体や能力を良くご存じのお姉さまに決めてほしいです」


「そしたら巫女かなあ。マルチナさん身体丈夫じゃないしーーああ。これは例のやつが来る。 やっぱり来た!」




……私の精神構造体の奥底 神域からの声が聞こえる


……巫女ではなく聖女が必要 その宇宙でただ一人しか指名できない聖女となるのは この人しかいない……


……分かりました マルチナさんはやっぱり特別なんですね 聖女になってもらいましょう……




名前 マルチナ・アレキサンドライト

種族 人(女性)

年齢 15  体力 G  魔力F

魔法 水弾7光弾7土弾7風弾7火弾6

   闇弾5回復5ステータス5

   暗視5遠視5隠密5浄化5結界5

   探知5魔法防御6念話5飛行5

   睡眠5神託5神楽5動物調教5

   魔獣調教1

身体強化 筋力5持久力5衝撃耐性5

   睡眠耐性7麻痺耐性7毒耐性5

   反応速度5防御7老化緩和6

称号 アレキサンドライト帝国第1皇女

   魔物の調教師

   動物の王

   亜神(時空)アリスの聖女



名前 アリス・コーディ(有朱宏治)

種族 亜神(時空) 人(女性)

年齢 0歳(身体年齢15歳)

体力 G

神力 G

神技 時空間操作Aエネルギー操作G

   ベクトル操作G物質創造G

   生命体干渉G精神構造干渉G

   神域干渉G

称号 神の自覚 使徒を得る

   聖地を得る 司祭を得る

   巫女を得る 聖女を得る



「マルチナさんは私の聖女様になりました! これからよろしくお願いしますね! 私のことはアリスと呼んでねアリス様じゃなくてね?」


「はい! お任せください! アリスお姉さま!」



 お姉さま呼びも良いだろう。ふふふ。やはり私とマルチナさんは特別の関係だったか。素晴らしい。ずっとマルチナさんと居たいから望むところだよ。これからは常に横に居てもらって手を繋いでもらおう。





「では改めてシリトンに向かいたいけど使節団の人たちってどうしたらいいかな? 使節団だけで帝都まで戻ってもらうしかないと思うけど」


「使節団のこと考えてくれてありがとう、お姉さま。でも私たちと一緒に来るとかえってお互いに危険だと思うから別行動で帰還してもらった方が良いと思うな。どうだろう?」


「それなら強化カラス1個飛行隊20羽をつければだいたい安全に帰還できるのでは? アリス様には時々神託でチェックして頂く手間がかかりますので面倒ですけど。私グレタが差し出した分のカラスを直ぐに補充しますので問題ないと思います」


『それでいきましょう。カラス第3飛行隊、使節団の護衛に就きなさい。必要な指示は都度行います』









 使節団にはマルチナ皇女は皇女姉と同行して一足先にシリトンに向かうので使節団は別行動で帝都に帰還するよう伝えた。



 代表のクレリチ子爵は随分とゴネたけどそれも当然だろうね。私が彼でもゴネるだろうから。だって、第1皇女という代表者がいない使節団ってただの旅行者だもんね。


 皇女殿下って看板が無いとあちらこちらで雑な扱いをされるのは目に見えている。ちょっと可哀そうだな。なんとかしてやるかー。





「クレリチ子爵。皇女姉のアリスです。あなたの御心配はもっともです。使節団の旅路も楽なものではないでしょう。そこで、あなたを見込んで相談です。内密にできますか? あなたとあなた達使節団の利益になるし安全にも繋がりますよ?」



「む。どんな件でしょうか皇女姉君アリス様」


「実はわたくしは、女神イースの友達の異世界の神なのです。いまからあなたに恩恵を与えますので使ってください」



ー転写 神託、念話、ステータス!



「は、なにをー  『クレリチ子爵、これ念話といって、念じれば会話が出来る魔法ですよ。それとステータスを使えるようになってますから使ってみてください。念話、神託、ステータスが使えるはずです』


『これでいいんですか……おお、ステータスが見える! 神託! アリス様は本当に神なのですね……』





 しばしステータスタスを確認してもらってからクレリチ子爵に色々と提案してみる。



『それでですね。あなたには私の使い魔である強化カラス1個飛行隊20羽を預けます。この子達は強いですよ?オーガロードやジェネラルですら一蹴するでしょう! 

あなたの言うことを聞くように指示しておきますから道中安全だと思いますよ。常に周囲を警戒監視して要すれば一撃のもとに叩き伏せます。

昨日の野盗もどきのマリアーニの騎士など一瞬で蹴散らしますよ。実際昨日は蹴散らしましたからね』


「ありがとうございます。アリス様! そんな使い魔が居てくれれば鬼に金棒、大船に乗ったつもりで帰還できます」


「そうでしょう。安心ですよ。念話で強化カラス達と会話できますのでうまくやってください。それから神託で私と通話できます。なにか困ったら連絡を。

最後にクレリチ子爵。あなた私の、異世界アースの亜神アリスの信者になりませんか? いま信者になったらお得ですよ? なんと信者第1号です。会員番号00001ですよ。いかがです?」




 言われたことを直ぐには理解出来なかったのだろう。クレリチ子爵は直ぐには反応できなくて5秒ほどフリーズした。




「信者ですか? ふーむ。

なるほどなるほど。これだけの恩恵と使い魔。しかも信者第1号ですか。

ーーわかりました私はアリス様の信者になりましょう。よろしくお願いします」



「ふふ。よろしいでしょうクレリチ子爵。私の信者になりなさい」



 えーっと。クレリチ子爵のステータス!

おお。クレリチ子爵の称号に「異世界アースの亜神アリスの信者」ってでてる! 自発的(恩恵で釣ったけど)信者1号だ! ありがとう。クレリチさん。



「では、信者クレリチよ。使節団を安全に帝都まで導くように。お願いしましたよ。帝都で会いましょう」


「はい。アリス様、マルチナ様、お気をつけて。我々も一人も欠けることなく帝都に帰還して見せましょう」





♢♢





 私、マルチナ、グレタ、エミリー、フィリポ曹長以下4名はマリアーニ城塞からシリトンに至る街道を一路南下していた。ジェダイト中央方面軍の派遣隊長とは円満に話がついて無事に出発できました。



 長距離走行モードで隠密1を発動、目立たぬように走っている。時速15キロメートルほどはでているので2時間おきに休憩をとって1日に100キロ走破する計画だ。無理なら修正するけど大丈夫でしょう。


 ホントは夜の方が移動に適しているけど夜まで待つ時間が惜しいので日中から爆走なのです。いちおう2日間でシリトンに到着するつもり。







【60日目 シリトン市街地 午後2時】



 予定通りにシリトンまで到着したけど宿屋に入る前に食料を購入しておく。アンバー高原から魔境を抜けるまでは食料を購入できる場所がないからね。


 人数が多くなっちゃったから物質創造で地球の食べ物を好き勝手に食べる訳にはいかない。神力がさすがに足りないと思うから。だって私、マルチナ、グレタ、キアラ、サーラ、エミリー、ラウラ、イース、アリアンナ、ノエミ、フィリポ以下4人。合計13人。一日当たり巨大塩おにぎり2個でいいなら足りるけど……足りるのか? でも貴重な神力をおにぎりでほぼすべて消費するわけにはいかないから。


 ちなみにシリトン市街地では闇竜タタウイネアの信者は24名捕獲して称号「信者」を消してやった。シリトン市街はかなり安全になっているだろう。











 午後4時。宿屋「高目」の前に全員が出てきている。宿のチェックアウトも終わった。思えばこの宿に28日間も居たんだね。お世話になりました。



「はい、皆さん注目してください。これからアレキサンドライト帝都に向けて出発します。

街道を道なりに進めば1000キロル、20日間ほどかと思いますが今回はアンバー高原を迂回するから1500キロル、30日間以上はかかると思います。

無理のないように進みますので全員一緒に一人も欠けることなく進みましょう!」



「はーい♪♪♪」


「りょーかい!!!!」


「分かりました!!!!!!!」




「では出発です!」



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