第12話 キアラの戦闘


【13日目 夜 ロードナイト遭遇戦】



『キアラ、開口部から外を警戒!レベル5攻撃魔法の使用を許可。近づくものすべてを殲滅しなさい!』




 お母さんにマイホーム開口部の防衛を任された!


 マイホーム開口部からの外の監視って難しい。マイホームの中はほんのり明るいから外からは中が丸見えのはずだ。


 お母さんの魔力残はほとんど無いみたいだった。ここをあたしが死守しないと。ここを抜かれたら後ろには戦える人が残っていない!




 あの風弾と光弾の効果は恐ろしい。


 風弾の属性追加効果は恐ろしく大きな爆音。近くで聞くと聴覚が麻痺して気を失いそうになる。


 光弾の追加効果は激しい閃光。晒されるとしばらく目が見えなくなる。


 これらの爆音と閃光をアタシ達の無力化に使ってくるとは。やはり魔術がただ使えるだけではダメだ。よく分かった。




 風弾と光弾の危険性には訓練の時に気づいてお母さんとその対策を考えた。


 でも、手で耳と目を塞ふさいで守る事くらいしか思いつけていない。もっといい方法があるのかも知れないけれど。


 対策としては先制攻撃が一番なんだけどアリス様は嫌がるんだよね。人を傷付けたり殺したりするのが嫌みたいだ。気持ちは分かるけど。マルチナお嬢様も同じだったからその辺の性格も共通している。


 でも次は躊躇ちゅうちょしない。私達は死にかけたんだから。




 アリス様は攻撃魔法の狙い方が分からないって言ってたけど遠視を一緒に発動するとめっちゃ当たるようになるんだよね。たぶん遠視で視界が拡大される。その分だけ射撃精度が上昇する感覚がある。


 遠視なんていう身体強化魔術は聞いた事もなかった。射撃精度が上がる魔術も聞いたことがない。もしかしたら遠視って持ってる人がいないのかも知れない。


 まだアリス様に報告してないうちにこんな恐ろしい近接戦闘? になってしまった。言っておけばよかった。


 遠視5で視界が32倍に拡大されると射撃精度も32倍になる感じ?


 しかも遠視だと光弾の閃光が全く眩しくない。暗視などとは何かが違う気がする。


 あ、これ光弾の対策になるね。良いことに気がついた。





 さっきから左側にめちゃくちゃ風弾と光弾を打ち込まれている。


 えっと、ボブはどこにって、傭兵組合の回転ドアの内側に隠れてる! 念話で呼ぼう。



『こっち来てボブ! おかあさーん ボブいたよー!』



 突然右側に風弾光弾が打ち込まれた。目が眩むー「遠視1」を使ってるから大丈夫だ。ジェダイトの人たちが障壁を越えて飛び込んできた!



『お母さん! ジェダイトが4人来た! 迎撃する!』



 あ、ボブが走ってくる! やばい、ボブとかち合うってーボブがホームに飛び込んできた。


 「反応速度5」「遠視5」「暗視5」発動、よし、これで安全に攻撃魔法を撃てる。「土弾5」発射!発射!発射!発射! 


MP amount 29/100 remaining time 29


 魔術発動停止!




 やばい。今の一瞬で魔力残が30%を切ってしまった。土弾5は必要無かった。


 魔力ゼロになったらマイホーム開口部を防衛できない!


 相手の生命のことなんかもう考慮できない。次に来たら闇弾2で頭を消滅させる!


 攻撃魔法レベル2だとレベル5に較べたら魔力消費は8分の1だからね。



『おかーさーん、ジェダイトの人、4人無力化したよー! ボブもマイホームに戻ったよ!』






 ジェダイトの人たちは建物の壁際に倒れ込んでいてピクリともしない。死んでないと思うけど、死んじゃったらごめんね?



 あ。マイホーム開口部が閉じていく。アリス様が目覚めたね。


 閉じつつある開口部から無力化したジェダイトの人達を監視する。


 私の主観時間が32倍に引き伸ばされたからジェダイトの人達が止まって見えたよ。あの人達にとっては一瞬だろうけど。


 あら。ジェダイトの人と目が合っちゃった。ケガさせてごめんね。でも貴方たちが先に手を出したからだよ?



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