第25話 池の花
大学時代のこと。
趣味で山中をドライブしていたら、きれいな池を見つけた。
深緑色に澄んだ水面から極彩色の花々が顔を出し、『極楽のような』という表現がぴったりな風景だった。
後日、彼女を連れて同じ場所に来た。
俺は喜々として案内するが、彼女の反応は芳しくない。
渋々という風に一枚だけ写真を撮ると、具合が悪いと車に戻ってしまった。
帰りの車中、彼女が「あそこにはいかない方がいい」と口を開いた。
理由を聞けば、池には花どころか水中から無数の腕がのびていたと言うのだ。
そんな馬鹿なと笑うと、スマホの画面を見せられた。
あの池だと彼女は言う。
しかしそこには、色とりどりの花はなく、朽ち果てた木や水草に覆われ濁った水面が写っているだけだった。
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