第350話 関心
弁当を食べ終わると、桃代は焚き火に手をかざしながら自論を語り始めた。
ちなみに、ユリを含めた
以前、
まあ、妙な状態だからな、関係ない人を避難させたんだと思う。
「まずは、紋ちゃんに聞かれた
「へ~~ぇ、
「それなんだけど、わたしが思う楓を襲った化け物は、穢れの結晶を取り込んだ動物だって話したでしょう。その化け物は、複数の動物が融合してるのではないかしら」
「複数の動物が融合? もしもそうなら、楓の言う通り気持ちの悪い化け物になるな。だけど、そんな化け物が本当に居るのかな?」
「居るのよ。複数の動物が融合した化け物、日本ではそういう化け物を昔から
「ぬえ? 夜中に苺が針と糸を使ってチクチクしてるあれ?」
「いいですか紋次郎さん、それは【
「イ、イヤだな苺さん、ボケただけですぜ。すみませんキーコにも同じ事を注意されました。それで、仮にその
「思ってないわよ。楓のいるあの場では、ああ言っておかないと楓のトラウマを刺激するかも知れないでしょう」
「トラウマ・・・虎と馬が融合したら、やっぱり
「まぁね、もしかしたらそうかも知れない。平家物語では顔は猿、胴体は狸、手足は虎、尻尾が蛇って書かれてるけど、日本に虎は居ない。ただの想像でなければ、複数の動物が融合した化け物を、総称して
「じゃあ、
「それはね、楓が襲われたすぐ後で、龍神様が
「龍神の重圧? なあキーコ、それから苺とクルミ、おまえ達も龍神から圧力を感じるの? 俺はおやつを食べてる時の、物欲しそうな視線以外は何も感じないぜ」
「あのね、初めて龍神様に会いに行った時だけど、心臓のドキドキが止まらないって言ったでしょう。あの時だって、紋次郎兄ちゃんが隣に居てくれなかったら、あたしは近寄らなかったよ」
「いいですか紋次郎さん。龍神さんの重圧はそれはもうもの凄いです。ただ、あなたと絡んでる時だけは別ですけどね」
「きゅ、わたしも初めて龍神様を見た時は逃げようかと思いました。だけど、紋次郎君と楽しそうにしてたので、勇気を出して近づいたんです」
「ふ~ん、こんなとぼけたヤツなのにな。まあいい、頼りにしてるからな龍神」
「うん、まあ、頼りにされるんは嬉しいけんど、紋ちゃんは、もうちょっとワシを
「あのな~龍神。おまえはさぁ、役に立つ前と役に立った
「うっ、意外としつこい。もうええ、
「お願いしますね龍神様。いい、紋ちゃん、今のは化け物に対してのわたしの仮説。それから、楓に対して少し気になるの。あの子の話の全てが噓とは思わないけれど、全てが本当だとも思えない。何か隠してる気がする。だから気を付けて」
「そうだな、気を付けるよ」
桃代の話を聞き終わると、俺たちは上流を目指すことにした。
燃え尽きた小枝に、川から汲んだ水を掛け、完全に火が消えたのを確認してから移動する。
ここからは、俺も龍神の背中に乗って移動する事になった。
桃代は楓の何が気になるのだろう?
もしも、りんどうを介して楓が俺を呼んだのなら、あの態度は不自然だと俺も感じたが、母屋を出る頃には明るい表情に変わっていた。
あんなにスッキリした顔で、まだ何か隠しているのなら、楓は演劇部だったのかも知れない。
念の為に桃代に確認すると、【知らない、興味もない、わたし以外の女性に関心を持たないでよ】っと、怒られた。
別に関心を持ったわけではない。
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