第181話 リプリー
俺には理解が出来ない。
桜子は前からそうなのだが、どうしてユリまで、たいして親しくもない俺に風呂上がりの姿を
まして、紅潮した顔に艶っぽい浴衣姿だ、普通は嫌がるのではないのか?
もちろん、俺は
だが、桜子のヤツ、普段着慣れない
ユリは桃代がいる
俺は桃代の方に
それなのに、乱れた裾の桜子が、桃代の後ろの方でドタバタしやがって、乱れた胸元のユリは、桃代にしな垂れかかって離れない。
いやが上でも視界に入る。
この二人にピントを合わせないよう無視していたが、桜子がどうでもいい事を聞いてきた。
「ねぇ、紋次郎君。もしもこの部屋にお
「はぁ? なんだそれは?」
「いや、だって、よく聞くじゃない。良くない何かがあった部屋には、わかりづらい場所にお
「桜子、それでドタバタしてたのか。そんな都市伝説を信じて、おまえは本当にバカだな。でも、それで落ち着けるのなら答えてやる。下駄箱の一番下の棚の裏だ。あとはトイレの水洗タンクの裏だ。そこを見たら、うるさくするなッ」
明日も予定があるので、俺は早く休みたい。
寝る為に隣の部屋に行くと、布団が四組並べて敷いてある・・・やっぱりだ、こうなる予感はしていた。
仕方がないので、俺は
桃代も移動をして来ると隣の布団に入り、電気を消して、代わりに常夜灯を点ける。
これで眠れる・・・そう思っていたのに、表情のない顔で桜子が枕元にやって来た。
「ねぇ、起きてよ紋次郎君。紋次郎君に言われた場所を見てきたら、本当に有ったわよ・・・二カ所とも、どうしてくれるのよ、怖くて眠れないでしょう」
「いいか桜子、俺は眠い。くだらん事で
「あっ、ごめん。そうだよね、もしも幽霊が出たら、わたし達ではなく紋次郎君に取り
面倒なので、敢えて否定はしないが、勿論そういう意味で言ったのではない。
何かあれば、俺がなんとかしてやる。
そういう意味で言ったのだが、結果は同じような気がしてきた。
桜子が落ち着いて静かになったので、やっと休む事が出来る。
あとは夜中に悪夢の続きを見なければ、呼ばれて夢遊病のように部屋を出なければ、今回の騒動は終わりと思い、俺は楽な気分で眠りについた。
だが、その夜、気付くと俺はひどく苦しんでいた。
悪夢の続きを見た・・・そういう事ではない。
無意識に
桃代が布団にもぐり込んで俺に覆いかぶさると、ガッチリと抱き付いていたからだ。
寝返りは打てない、痒い所を掻く事も出来ない。
それなのに桃代の髪の毛が、俺の鼻をくすぐる。
我慢するしかない、俺が無意識に行動を起こした時に、すぐさま気付けるように抱き付いているだけだ。
そうは思うのだが、さすがに苦しくなって来た。
デカい乳に押し潰されそうだが、別に桃代が重たい・・・訳ではない。
ただ長い時間、同じ姿勢でいるのが、つらいだけだ。
まずは、両手を抜いて自由が利くようにすると、桃代を横にうっちゃる。
寝返りをして、同じ姿勢から解放されたのも束の間だった、またもや桃代が抱き付いてい来る。
今度は反対側にうっちゃる。
それなのに、目を閉じたまま、むにゃむにゃ言いつつ、桃代は俺に抱き付いて来る。
コイツ! 無意識に呼ばれてないか? もちろん俺が呼んでる訳ではない。
しかし、二度もうっちゃられ、目覚める事なく抱き付いて来る。
俺は、
俺を心配してくれる優しさからの行動なのだから、もう諦めよう。
ただ、ドタバタした
バカたれッ! いくらなんでもそんな訳あるかッ!
結局、変な誤解をされたくなくて、俺は桃代のなすがままだった。
悪夢の続きを見る事は無かった。
夜中、無意識に出掛ける事もなかった。
だが、眠っていただけなのに、翌日の俺は、ほどほど筋肉痛になっていた。
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