第61話 面倒
風呂上がりの喧騒は
ただし、ひとつ問題がある。
そう、桜子の寝る場所がまだ決まってない。
あまり離れた部屋だと何かあった時に困るので、隣の部屋で桃代と一緒に休んでもらいたい。
俺はそんな感じで考えているが、桃代がどういうふうに考えているのか、全くわからない。
昨日は桃代に押し切られて、仕方なく隣に布団を並べて眠ったが、今日からは遠慮をしてもらいたい。
もちろん三人で布団を並べて眠るのは、もっと遠慮をしてもらいたい。
まずは俺の考えを話し、二人の意見を聞く事にした。
「桜子、おまえは俺の部屋の
「紋次郎君、気を遣ってくれてありがとう。桃代姉さんと一緒に眠れるなんて、凄く嬉しい」
「そういう
「何か、もっともらしい事を言ってるけど、紋ちゃんはわたしを
「いえいえ、滅相もありません。桃代さんと布団を並べられなくて、紋次郎大変残念です。はい」
「そう、紋ちゃんが残念なら仕方ないわね。わたしを真ん中にして、左右に一組ずつ布団を敷いて、三人で一緒に眠るしかないわね」
そうきたか。
もっと
不測の事態を言い訳にした為に、桃代の言う事を俺が否定出来なくなっている。
その
「桃代さん、昨日も言いましたけど男女同室はマズいでしょう。俺も
「どうしよっかな~ じゃあ、さっきの録音したのを消去してくれる。そうしたら、紋ちゃんの言う事を聞いて・あ・げ・る」
なんて恩着せがましい言い方なんだ。
桜子のことは、何も考えてないのか?
俺は安眠と桜子の為に、トイレのドアだけが映り切羽詰まった声が入る動画を、仕方なく桃代の前で削除した。
桃代に対するアドバンテージを失くした事に【これで落ち着いて眠れる】そんな感じで言い訳すると、俺は自分の気持ちを誤魔化した。
多少は
翌朝目を覚ますと、俺は寝転んだまま隣の部屋を見る、すると
隣の部屋は遮光カーテンなのだろう、俺の部屋より薄暗い。
よく見ると
以前の俺なら、驚いて鼓動が早くなるだろう。
しかし、
俺を驚かしたいのか? 悪趣味なヤツ。
「おはよう桃代さん。あのですね、先に起きたら声を掛けてもらえます。ジッと覗かれてると、ハッキリとイヤです」
「えへへ、おはよう紋ちゃん。今日はわたしの方が早く起きたわね。じゃあ、目覚めの熱いシャワーを一緒に浴びる?」
「桃代さん、そこは熱いコーヒーを一緒に飲むの間違いでしょう。俺は朝めしの用意をするから、モモは桜子を起こして、さっさとシャワーを浴びに行け」
朝からじんわり疲れるヤツ。
用意が終わった俺は、朝食を食べながら今日の予定を話し始めた。
「俺はこれから頂上の広場に行ってくる。塚の中を確認する時に桃代が隠れる場所を決める為だ。桃代と桜子は食糧の買い出しに行ってくれ。冷蔵庫が空っぽだからな」
実のところ【隠れる場所を探しに行く】それは建前だった。
もちろん、それも決めるつもりでいるが、桃香の面と昨日の続きをするのが、メインの目的だった。
頂上に一人で行くのは、正直怖い。
ただ、神社の中なら誰にも話を聞かれない。
そして、消えた御神体が神社に帰ってこないなら、逆に安全ではないかと考えたからだ。
あとは、桃代と桃香が会話をしたら、何か不味い気もするからだ。
「え~~わたしと桜子に、重たい荷物運びをさせるの? 紋ちゃんは少し冷たくない?」
わかっていたが、桃代が素直に言うことを聞いてくれない。
どうしよう?・・・待てよ、買い物ついでに郷土資料館へ桃代を連れて行くと、どうなる?
俺が見た、数年前の地方新聞に出ていた
俺の知らない蘭子さんの事実を、何か聞けるかもしれない。
誰が訪ねて来ても出ないよう、鍵を
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