第23話
「消えた……」
僕は金色の光が登って行くのを見てそう呟いた。
「魂が浄化されたんだ。人間でいう成仏みたいなもんだな」
カエルが足元からそう返事をした。
「成仏した魂は天国へ行くの?」
「さぁ。俺はこの町に止まってるからその先の事は知らない」
カエルは首を傾げてそう言った。
「この先が天国だったらいいね」
僕はそう言い、元来た道を歩き始めたのだった。
家まで帰る道のりの途中、僕は今朝見た夢の話をカエルに聞かせていた。
カエルは「思い出してくれたのか」と、大きな目をぎょろぎょろ動かして言った。
どうやら照れているらしく、緑色の頬はほんのりピンク色に染まっていた。
「カエルも、いつか消えるのか?」
「まぁ、50年もすれば自然に消えるっていうしなぁ」
「その前に消えることもあるのか?」
「そりゃぁ、さっきの蛇みたいな事があれば消えるだろうな」
「それって、僕と会えたことで浄化されたってことはないの?」
「それはないな」
キッパリと言い切ったカエル。
「ルキと会うのは懐かしいし、ルキの事は好きだけど、ルキに未練があってここに止まっているわけじゃない」
「使えるのに捨てられたからここにいるだけ?」
「そうだ。だから俺は50年間ここに居続けるかもしれない」
「1人で?」
「1人? この町には沢山の魂がいるじゃないか」
そう言うと、カエルはニカッと笑った。
強がっているようには見えなかった。
「ねぇ、この町の事をもっと良く教えて」
「お、やっとこれが夢じゃないって気が付いたか」
「まぁね。現実をちゃんと受け止めなきゃダメかなって思い始めてる」
「それはいい事だ。まずここは捨てられた物の魂が集まる【捨てられた町】だ」
「うん。それはもう聞いた。蛇や僕みたいに生き物の魂が迷い込む事があるもの、もうわかった」
「そうか。それなら何が聞きたい?」
「その他のこと、沢山だよ。この町の人たちは何を食べているのか、どうやって暮らしているのか」
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