第8話
そのブロック塀に近づいた時僕は「あ‼」と、声を上げた。
足元のブロックの1つに【ルキ】という文字が掘られているのを見つけ、しゃがみ込んだ。
石で掘ったそれはまるでつい最近掘られたように綺麗なままだ。
「ここって……」
「井上正樹の家だ」
カエルが言った。
僕は目を見開く。
「やっぱり‼」
どこかで見たことのある家だと思ったが、ここは僕の祖父の家だったのだ。
足元のブロックに掘られた【ルキ】という文字は、僕は小学校2年生の時に自分で掘ったものだ。
「なんでこんなところに祖父の家があるんだ? あの家は僕が小さい頃に取り壊したはずなのに……」
「この家には俺が暮らしているんだ。言っただろう? ここは捨てられた物たちの魂でできた町。【捨てられた町】だ」
カエルはそう言うと門の中へと入って行く。
僕は懐かしさを感じながらその後に続いたのだった。
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