第7話 隣人
7-1 うるさい
鳥越 佳奈 27歳は、この二年で三回もアパートを引っ越した。
二年前は安アパートの二階。ここは、上の階に子供がたくさんいるのか、休みの日は朝早くからドタバタとうるさく、家に居ることができなかった。
その次に借りたのは、四階建アパートの最上階。新築のアパートで、隣は新婚さんだった。仲良さそうに見えたのに、二ヶ月も経つと大喧嘩するようになった。しかも喧嘩は決まって夜中だった。
そして今、最上階の端で防音もバッチリという部屋を借りた。それなのに、防音にも限界があることを思い知らされるほどうるさい隣人がいた。
隣人は二十歳くらいの男性で、2.3日に一度、大勢の友達を集めて飲み会を開くのが常だった。そして飲んだあとはカラオケ、ギター、何の音か分からないが聞こえてきた。防音なのではっきりとは聞こえないのだが、いつも耳鳴りのようなボーンのいう音が耳に入ってきて、病気になりそうだった。
仕事帰り、佳奈は不動産屋の前で立ち止まった。
「また引っ越しかあ……ついてないなあ。引っ越し貧乏って私のことだわ」
部屋の案内板に混じって、不思議な広告が貼られているのに気がついた。
(お風呂の広告?何?悩み解決って……。でも厄払い兼ねて行ってみようかな。隣人運が上がるかも)
佳奈は、広告にある地図を頼りに、那楽華の湯へ出かけた。
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