6-4 仕掛け

 扉を開くと、見張りのモンスター十体あまりが拓哉に迫ってきた。


 拓哉は慌てて剣を抜いた。


「うわ!なんで!ソードだけこんな初期装備!」


 拓哉が持っていた剣は細く、いかにも見窄らしい剣だった。しかし、拓哉が構えた瞬間、赤く大きく光を放ち、一太刀で、全てのモンスターをなぎ倒した。


「すごい!母さん俺のHPどうなってる?」


 HPと言われても、京子はなんのことか分からなかった。


「右上に黄色い帯あるでしょう。その横の数字言ってみてよ」


「二千四百七」


「そんなに?……それでか。このアニマソードはプレイヤーの生体エネルギーに応じて威力が変わるから、この時点で正に最強なんだ」


 京子にはさっぱり意味が分からなかった。


 二階に上がると、生体エネルギーが吸われるフロアーがあったが、レプラコーンの靴に守られた拓哉は、難なくクリアし、順調に最上階へ進んでいった。


 四階まで行くと、チャットがまたざわつき始めた。


「最初に入った三人はその階でやられてるぞ」

「見ると石化するモンスターが混じってるらしいよ。耐性のある装備何?」

「それより魔法!……たっくん戦士だろう?」


「拓哉、四階危ないらしいよ」


 心配になった京子が声をかけたが、拓哉は足を止めずに進んだ。


「大丈夫、ベルン鉱石を混ぜたレンズで見てるから、石化しないよ」


 拓哉はいつのまにかゴーグルをはめていた。


 その階も無事切り抜けた拓哉は、いよいよラスボスがいるであろう宮殿のに入った。


「我が宝物を狙うのはお前か」


 いかにも悪役が吐きそうなセリフとともに、三つ目で鬼のようなモンスターが現れた。体も拓哉の倍近くあり、倒すのが容易ではないことが京子でも分かった。


「拓哉!がんばれー」

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