第26話 魔族の攻め込み
(え、あれはなんだ?)
驚いているのも束の間であった。見たことも無い二体の存在がパーティ会場に乗り込んできて、近くにいた人たちを攻撃し始めた。
(やばい。このままだと......)
俺とガブリエル様は即座にそちらへ向かうと、そこにはすでに数人倒れている天使の方々が居た。
「あれってなんですか?」
「多分魔族.......」
「え? でもあんなの見たことないですよ?」
今まで魔族と何度か戦ってきたけど、こんな存在はいなかった。今目の前にいる奴は、はっきり言って異質の存在。人間の形をしておらず、体に肉は無く、骨でできており、目が一つしかない。
「あれは、でも......」
ガブリエル様がそう言った瞬間、槍を持っている一体が近寄ってきて、攻撃を仕掛けてくる。俺は瞬時に
(お、重い......)
今までここまで思い攻撃を受けたことが無いが、弱音を吐いている余裕すらない。今は時間を稼ぐのが最優先のため、槍で何度も攻撃を仕掛けてくるのを、
だが、それもそう長くは続かなかった。数分も経たないうちにもう一体も近寄ってきて、二体同時に攻撃を仕掛けてくる。槍を持っている奴の攻撃を防ぐと、一瞬の隙をついてきて、攻撃を受けてしまう。
(ウ......)
その後も、今と同じような攻防を続けていき、五分と経たないうちに体がズタボロになっていた。
(自動回復でも間に合わないよな)
次の攻撃を受けたら、立っているのも厳しい。そのような状況に陥った時、一人の女性が俺の前に立った。
「今まで時間を稼いでくれてありがとう」
「......。あなたは?」
「ミカエルだ。私が後は受け持とう」
すると、二体の魔族と高度な戦闘を繰り広げ始めた。俺が後退して距離を取っていると、後ろからルーナとクロエが来て
「「遅れてごめん」」
「あぁ。避難を促していたんだろ?」
「「うん。でも来るのが遅れて......」」
「生きているから大丈夫だよ」
多分、ルーナとクロエが戦闘している時にいてくれたら、もっと楽に戦えていたはずだ。でも、二人がここにいる天使の方々を非難及び護衛として一緒に行動をしてくれなかったら、もっと戦いずらかったに違いない。
そうじゃなくても、この室内の会場で魔法を使うことが出来ない。近くに天使の方々が居たら剣すら振ることが出来なかったはず。
すると、ルーナが俺に
「あの人は誰なの?」
「ミカエル様だ」
「「え? ミカエルってあの?」」
「あぁ」
ミカエルとは、神話にもよく出てくる天使の軍師である。だからこそ名前を聞いた時、安心して戦闘を任せることができた。
その後、三人で目の前の戦闘を見つつ、ルーナによって回復をしてくれているところにガブリエル様とウリエル様が近寄ってきて
「メイソンくん大丈夫?」
「はい。それよりもガブリエル様こそ大丈夫ですか?」
そう。魔族たちと戦闘が始まる時、俺と一緒に居たのはガブリエル様だった。戦闘をしていて、ガブリエル様にまで気をまわすことが出来なかったため、今目の前に居てくれて少しホッとしている。
「私はメイソンくんが時間を稼いでくれていたからミカを呼びにいくことが出来た。本当にありがとう」
「こちらこそありがとうございます」
ミカエル様が居なかったら、確実にどこか大きな負傷をしていたのは間違いない。
「あの、ウリエル様」
「ん?」
「あいつらは何なのですか?」
「あれは......。悪魔だよ」
「え、悪魔?」
戦闘が開始する前にガブリエル様から魔族だと聞いていた。それなのに今、ウリエル様は魔族では無く悪魔と言った。
(悪魔ってなんだ?)
ふと疑問に思う。すると、俺の顔を見ているウリエル様が説明を始めてくれた。
「君たちは知らないと思うけど、悪魔って言うのは、魔族の中でも特殊な存在なんだ。簡単に言えば、魔族の生き残りの一種だね」
「......。そうなのですね」
(そんな存在が居たなんて.......)
でも、俺たちが知らないだけで、そう言う存在がいるのは納得できる。なんせ、俺たちは、ここにきて世界の一部しか知らずに生きてきたんだなと、俺たちが一番実感している。
「うん。でも悪魔がいるってことは......」
「そうだね。メイソンくんはもう戦えないかい?」
「いえ、ルーナに回復してもらったので戦うことは可能です」
さっきの戦闘では魔法を使っていないため、肉体的疲労だけであったが、それも
「じゃあ、ミカの援護に行ってくれないかい?」
「わかりました」
ガブリエル様とウリエル様に言われるがまま、ミカエル様のところへ向かう。そして、槍を持っている悪魔の目の前に立って
「加勢します」
「助かる」
そう言って
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