第18話 天使族


(どうすればいい!?)


 俺一人なら、宝石ダイヤロックで回避することが出来る。だが、それだと二人は確実にブレスを食らってしまう。そう思っていた時、ルーナが


「私の後ろに来て」

「わ、わかった」

「わかったわ」


 俺たちはすぐさま、ルーナの後ろに回ると守護盾プロテクト・ガードを使い、それと同時に完全守護プロテクションを使った。


 そして毒ブレスがこちらに近寄ってきて、まず最初に守護盾プロテクト・ガードで受けて、それが壊れた時、完全守護プロテクションで守り切った。


(この手があったか!!)


 守護盾プロテクト・ガードは、完全守護プロテクションより、範囲が狭いが、守れる範囲が広い。

 

 そのため、守護盾プロテクト・ガードである程度の毒ブレスを防ぎながら、最も威力が高い場所は完全守護プロテクションで守り切ったってことか。


「ルーちゃんありがと」

「ルーナありがとな」

「うん!」


 その後もドラゴン、いやドラゴンゾンビから攻撃をことごとくルーナが防いでくれる。それに合わせるように攻撃を仕掛けようとするが、ドラゴンゾンビの攻撃が全て広範囲攻撃であることから、前に進むことが出来なかった。その時、クロエが


「ルーちゃんが守ってくれた後、私が隙を作るわ。トドメはメイソンお願い」

「でも......」

「私たちを信じて」

「!!」


 結局、俺はルーナとクロエの実力も信用しきれていなかったということか。そう思った時、ものすごく自分に失望した。


 毒ブレスの時も、俺一人で何とかしようとして、仲間を頼るって思考に至らなかった。それは、今回クロエに言われた時も同様だ。隙を作ると言ってくれたのに、俺一人で何とかしようと考えていた。


 仲間って言葉で言いながら、俺は仲間と信じ切っていない。そう言っているようで、心底嫌気が指す。だが、こんなことを今考えていても意味がない。


「二人とも頼む」

「「うん」」


 そして、ドラゴンゾンビが衝撃波を放ってきたのをルーナが防ぎ、攻撃がやんだ一瞬をついてクロエがドラゴンゾンビに突っ込む。


(すごい)


 クロエの今の行動は、ルーナが守ってくれると信じ切っていなかったら取れない行動。ルーナが魔法を辞めたタイミングで突っ込んでいっていた。


(これが仲間か)


 少し俯きながらも、クロエへ続くように突っ込む。すると、ドラゴンゾンビがクロエに対して、噛みついてくる。それを回避したら、次は叩き潰して来ようとして来ていた。その時、クロエがこちらを向いてきてアイコンタクトを送ってくる。


(今か!!)


 もう迷わない。俺はクロエを信じてドラゴンゾンビに斬りかかる。すると、ドラゴンゾンビが俺に攻撃をシフトしようとしてきたが、クロエが剣で攻撃を弾き飛ばして


「メイソン!!」

「あぁ」


 ドラゴンゾンビの指を斬り落とす。だが、ドラゴンゾンビはびくともせず、攻撃を何度か仕掛けてくるが、ことごとくクロエがドラゴンゾンビの攻撃を防いでくれて、俺が攻撃を仕掛けた。


 そこから数分が経ち、ドラゴンゾンビの片腕を斬り落とすことに成功する。すると、至近距離で毒ブレスを放ってこようとしてきた。


(これはクロエじゃ防げない。でも!!)


「ルーナ!!」

「わかってる」


 ルーナは俺が叫ぶ前から、こちらに駆け寄って来て守護盾プロテクト・ガード完全守護プロテクションを使い、毒ブレスを防ぐ。


 そして、俺たちに光回復ホーリーヒールを使ってくれて、お互いの傷が徐々に無くなっていった。するとドラゴンゾンビが叫びながら後退していった。


「「「え?」」」


(どうなっているんだ?)


 なんでドラゴンゾンビが悲鳴を上げるんだ? 今ルーナが使った光回復ホーリーヒールは俺たちに使ってくれたはず。


(!!)


「ルーナ、光回復ホーリーヒールをドラゴンゾンビに使ってくれ」

「わ、分かったわ」


 ルーナがドラゴンゾンビめがけて光回復ホーリーヒールを使うと案の定、悲鳴を上げながら行動が遅くなっていくのが分かった。


(ここだ)


 俺はドラゴンゾンビめがけて炎星アトミック・フレアを放つと、翼などが徐々に崩れ落ちていった。


 もう一発。そう思った瞬間、雲っていた空から光が差し込んできて、翼を生やしているみたことも無い種族が下りてきた。


「やっぱりガブリエル様の言う通りだったわね」

「「えぇ」」


 そう言いながら、俺たちに背を向けながら立ちふさがって来た。


「え? あなたたちは?」

「今はそんなことどうでもいいでしょ? 今は目の前のクローを倒すのが最優先よ」

「「「......。はい」」」


 クローって誰だ? でも、目の前の敵ってことは、ドラゴンゾンビのことなのか?すると、天使族らしき一人が


「あなたも地に落ちたものね」

「......」

「もう話せないの。残念ね。あなたとは交友的であったから」


 そう言うと、天使族らしき三人が上に手を広げると、光の槍が数十本にもわたって出てきて、ドラゴンゾンビめがけて攻撃した。すると、あっという間にドラゴンゾンビが崩れ去って行った。その時、ドラゴンゾンビが意識を取り戻し始めて


「本当にありがとう」

「それはこの人たちに言うことね」

「わかっている。そこにいる人族とエルフ、狐人族。本当にありがとう」


 そう言って、ドラゴンゾンビが跡形も無く砂になって消え去って行った。そして、天使族らしき人物たちがこちらを向いてきて


「あなたたちには今から、私たちのいる国に来てもらいます」

「「「え?」」」

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