第18話 勇者との和解


 全員で椅子に座ろうとした時、ロンドたち三人が頭を下げて


「メイソン、そしてルーナさんにクロエさん。本当に申し訳ございませんでした」

「え?」


 俺を含めた全員がロンドたちを目を見開きながら見つめる。すると、ロンドは淡々と謝った理由を話し始めた。


 まず、俺がメイソンの実力を見誤ってバカにしたこと。そして、俺の元師匠であるリーフさんのせいでルーナを危険な目に合わせてしまったこと。最後に自分が今まで行ってきてしまった行為について。


 それを聞いたルーナとクロエは俺の方を向いて


「私は無事だったからいいわ。でも」

「えぇ」


 俺は一呼吸おいて言う。


「別にいいよ」

「え? いいのか?」


 ロンドたちは驚いた表情で俺を見つめてきた。そりゃあ最初はロンドたちのことが許せなかった。罵倒されてきたことや、自分の実力をわかってもらえなかったこと。でもそれには、俺だって落ち度があった。


 俺がもっと略奪のことを説明していればこのような状況には陥らなかったかもしれない。それに、もうロンドたちには感謝もしている。


 今の俺がいるのは間違いなくロンドたちのおかげでもある。それに、ミロがエルフの国が襲われいるという情報を教えてくれなかったら、エルフの国はもっと悲惨な状況に陥っていたかもしれない。


「あぁ。俺はもうみんなを恨んでいないし、頑張ってほしいと思っている」


 これは本心だ。魔人化したリーフをロンドとルーナと共に戦った時、こいつは本当に勇者なんだと思った。実力は俺以下かもしれない。それでもロンドは目の前にいるリーフに対して果敢に挑戦していった。それがどれだけすごいことか。


 するとロンドは少し涙を流し、他の二人は少し明るい表情になりながら


「「「ありがとう......」」」

「うん」


 それを見たルーナは俺に抱き着いてきながら


「これである意味、最初に決めた目標が全て達成されたね」

「あ、あぁそうだな」


 そう言えば最初の目標はルッツを助けること、そしてロンドたちを見返すことだったな。形はどうであれ、見返したと言えば見返したのかもしれない。すると、ロンドが


「それともう一つ、メイソンには頼みがある」

「ん? なんだ?」

「もし、もしでいいんだ。できるなら一緒にまた冒険をしないか?」

「え?」


 それを聞いた俺やルーナ、クロエにルッツは驚いた表情をした。そして、ルーナたちは不安そうに俺を見つめてくる。


「「メイソン......」」

「メイソン兄さん......」


(戻って来いか......)


 流石にこう言われるとは思ってもいなかった。でも答えることは決まっている。


「悪い、もうロンドたちと一緒に冒険はできない」

「......。そうだよな」


 今の俺がいるのは確実にルーナやクロエが居てくれていたからだ。それに、もう次の目標は決めている。


 ロンドたちといたら、世界中から賞賛されるのは間違いないだろう。あいつは必ず魔王を倒してくれると確信しているから。でも俺の目標は、ロンドたちが魔王を倒している時、世界中で困っている人たちを助けること。


 そして、それは三人でエルフの国にいた時、決めたこと。俺もその時納得したし、今も成し遂げたいと思っている。だから


「あぁ。悪いな」

「いや、いいんだ。でももし力が貸してほしくなったら頼むかもしれない」

「それぐらいならいいぞ。友達の助けを断る理由なんてない」


 そう、今まで何が障害があったとしても、数少ない友達の願いを断る理由なんて無いに決まっている。


「ありがとな。後、聞いているとは思うが、明日王宮に俺たちとメイソンたちが呼ばれているからその時は頼むわ」


(え? 呼ばれている!?)


「あ、あぁ。わかった」


 そして、ロンドたちは屋敷を後にした。その夜、俺の部屋にルーナとクロエがノックしてくる。


「メイソン、少し話さない?」

「うん」


 そして、ルーナとクロエは寝間着で中に入ってきた。

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