風鳴り

作者 辰井圭斗

議論はあおく。だからこそ熱く。

  • ★★★ Excellent!!!

 大学学生寮の自治を中心に巡る、人々の心を描いた作品。
 政治的なサスペンスエンタメ小説のような、どんでん返しやあっと驚くテクニカルな手段は扱われません。
 彼らの議論は、それぞれの主張を真芯に据えて語られるために、あおいです。若く拙くも見えます。でも、そのために一層、本気であることが伝わってきます。
 政治や巨額なマネーが動くわけではありません。だから話のスケールは小さいでしょう。けれど、彼らにとって、それは小さいや大きいと測られる対象ですらない。一等だいじな議論なのです。みなが本気で寮を、人を大事に思うからこそ、抱いた思想だったと思います。
 僕も昔、友人や先輩と語った部活動に対する議論を思い出しました。
 これを読んでよかったと、素直に言えます。

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