エピローグ ―藤方家―


「ママ、ママ。ねえ、見て。あれ見て。ママー」

 客間でお菓子をつまみながらジュース待ちをしている優希が、息子にしつこく呼ばれて振り返った。

「はいはい、和海くん。なんですか」

「ママ、あそこになんで、あるの? ねえねえ、ママ」

「だから何が?」

「あそこに、写真があるよ」

 見上げれば、祖父母が並ぶ遺影。


「ほら」

 息子の指先は、その横のを指す。

「蒼にいちゃんの──」

 蒼の何?


「……写真」

 優希は和海の『言葉予知』に突然、蒼の遺影を予感して青ざめた。

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蒼い魚の星座 片瀬智子 @merci-tiara

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