第16話 林間学校1日目(午後)
「さてと..行くかな」
あの後、俺達は一通り暇を潰し、今から誠司と一緒に風呂へ行くところだ。
風呂は夜10時までは自由に使えるらしい。
「楽しんだか?雅」
「ああ、それなりにはな、そっちは?」
「いや〜話しかけたんだけどよ、あとちょっとってとこでだめだったわ」
どうやらナンパに失敗したらしい。
「そうか」
俺たちは脱衣所で服を脱ぎ、体を洗ってから風呂へと入った。
「それでよぉ途中で変な男が割り込んできてよぉ」
どうやら、さっきの話の続きのようだ。
「変な男?」
「ああ、なんかくそチャラい奴がきて」
「どんな?」
「そうだなぁ...朝からお前をつけてる奴..とか?」
誠司は少しニヤリとしながら言う。
「...気づいてたか」
俺は苦笑いを浮かべる。
「ああ、で?なんなんだよ、あれは」
俺は誠司に午前での出来事を話す。
「はっはっは、いやーおもしれぇじゃん」
「何がだよ...まったく」
「で?どうすんだ?なんか考えてんのか?」
「いや、まだ何も考えてない、相手の出方を探ってからになるな」
「まあ、やばくなったら俺も力になるから言ってくれ!」
「ああ、そうするよ」
風呂から出ると遥からメールが届いていた。
内容はというと、今寮にいるから来て、とのことだ。
「悪い、先行っててくれ」
「ああ、わかったよ」
俺はそう言って誠司と別れた。
俺は人目を気にしながら女子寮の中の言われた部屋へと入る。
幸い今は女子も入浴中の様で全然人がいなかった。
「遥?」
俺が寮に入ると
「み、雅くん!」
と、部屋の隅から声が聞こえる。
「ん?って美央⁉︎」
なんとそこには遥ではなく美央がいたのだ。
「えっと..なんで美央がここに?」
「雅くんは遥さんからメールをもらってここに来たのですね?」
俺の質問に美央が言う。
「あ、ああどこにいるか知ってるか?」
「さぁ?お風呂にでも入ってるんじゃないですか?」
「そっか...メールきたんだけどなあ..」
と、俺が呟くと美央は笑顔で言う。
「ふふっそれは私が送ったものですよ?」
「え?」
「ですから、それは私が送りました!」
と、美央は笑顔のまま言う。
「そ、そんなのどうやって...パスワードは?」
「前にこっそり見て覚えました」
「そ、そっか..じゃあ俺は一旦戻るよ..」
そして、雅が寮を出ようとすると
「っ⁉︎」
なんと、美央が後ろから抱きついてくる。
「お、おい、美央、そういうのは...」
「雅くん..少しだけ...話したいです..」
と、美央が少し顔を赤らめ、上目遣いで言ってくる。
その仕草に雅は不覚にも可愛いと思ってしまった。
(っ⁉︎)
「で、でも..」
「だめ..ですか...?」
美央が少し残念そうな表情をする。
(それはずるいだろ...)
「ふふっありがとうございます!」
結局、雅は美央の押しに負け、女子寮の中で少しだけ美央と話す事にした。
しばらく美央と話していると、
「いやーまさかタオル忘れるとは」
「おっちょこちょいだなぁ」
と、話し声が聞こえてくる。
「ま、まずい⁉︎」
おそらく女子達が忘れ物を取りに来たのだろう。
「ど、どうしよう美央⁉︎」
と、俺が美央に助けを求める。
「安心してください!雅くん!」
と、美央は笑顔のまま言う。
「にしても美央ちゃん体調悪いって言ってたけど大丈夫かなぁ?」
女子生徒がそう言いながら部屋に入ってくる。
「美央ちゃん!大丈夫?」
「ええ、少し横になればすぐ良くなります」
「そっか、よかったぁ!」
「じゃあ私たちの事は気にせずゆっくりしてていいよ!」
「はい!ありがとうございます!」
そして、女子生徒達は忘れ物を探し始める。
「雅くん...大丈夫ですか?」
「あ、ああ、なんとか...」
雅は女子生徒達が入ってくる前に美央が隠してくれた。
しかし、その場所が
「な、なぁもうちょっとほかに無かったのか?」
「し、仕方ないですよ!そう!仕方ない事です!」
「って言ってもその...胸が..」
なんと、雅は美央の布団の中にいるのだ、しかも美央と一緒に
おそらく美央は体調不良で寝込んでいる事になっているのだろう。
「あの..バレてしまうといけないのでもうちょっと...」
そう言って美央は雅の顔を胸に埋めた。
「っ⁉︎おい美央⁉︎これは流石に..」
(やばいぞ...これは..)
美央の大きな胸の中の雅は既に限界に近い。
「はぁ...雅くんっ..その..息があたって..」
と、美央が顔を赤くしながら言う。
「わ、悪い、もう少し離れるか」
と、雅が少しだけ体を離そうとするが
「それはだめです!」
と、雅を強く抱きしめてくる。
「お、おい?美央?」
と、俺が戸惑う。
「バレないためです!」
と、美央は言う。
「いや...流石に近くないか?」
「いえ、これで十分です」
「いや..でも胸が...」
「触りたい..ですか?」
美央は恥ずかしそうに言う。
「っ⁉︎い、いや..別に..?」
しばらくすると
「あった!じゃあね美央ちゃんゆっくりしててね!」
と、美央に言い残し、寮を出て行った。
「ふぅ..行ったか」
「はぁ..そうみたいですね..」
美央は少し残念そうに言う。
「じゃあ、俺は戻るよ」
「はい...おやすみなさい」
美央は諦めたのか寂しそうな目をしながらおやすみを言ってくれる。
「ああ、おやすみ」
美央と別れた俺は女子寮を出る。
すると
「あぁーー!!!」
と、前から大声が聞こえる。
「高城さん?」
声の主はよく美央と絡んでいる高城茜だった。
ちなみに俺はまだこの子との距離感が掴めずにいる。
「雅くんって..いま女子寮から出てきたよね..?」
どうやら見られていたらしい。
「まあな..」
「も、もしや私たちの下着を盗みに..」
「ちがうわ!」
とんでもない事を言い出す高城さんに思わず突っ込んでしまった。
「じゃあ何しにきたの?」
「..遥にメールで呼ばれたんだよ..」
と、俺が言う。
「え?でも遥ちゃん、今お風呂だけど?」
と、茜がきょとんとした顔で聞く。
「ああ、メールの送り主は美央だったよ」
「へぇ、で?したの?」
「え?したってなにを...」
なんの話だ?
「だから!今みんなお風呂に入ってるはずだから美央ちゃんと2人きりじゃん!」
「まぁ」
「てことはヤリ○ンの雅くんは盛っちゃうわけでしょ⁉︎」
なるほど..ん?
「お、俺はやってないよ!」
「ほんとかなぁ〜?」
「本当だ」
「まぁ、部屋に白いの残ってたら一発アウトだから」
と、言い残しさっさと寮へと戻って行った。
なんか感情がすぐ変わる子だなぁ..しかもすぐ下ネタぶっ込んでくるし..
と、思いながら俺も歩き出す。すると
「あ」
「あ」
向こうから女子何人かと一緒に歩いている、遥と目があった。
すると、遥は俺に駆け寄ると
「雅?どうしてここにいるの?」
と、聞いてくる。
「あっと〜えっと..」
正直にさっきの事を言うべきか迷う。
「雅?」
遥がまた俺の名前を呼ぶ。
「えっとぉ実は..」
と、俺はさっきの事を話す。
「あいつ〜!許せない!」
と、遥はとても怒ってしまった。
「わ、悪い俺も落ち度はあった、本当にごめん!」
と、俺は謝る。
「はぁ、じゃあ今から少し散歩しよ!」
遥はため息を吐きながら、そんな事を提案してくる。
「うん、でも友達はいいの?」
「うん!雅と話したいし」
と、言いながら遥は友達の所へ行き、また戻ってくる。
「じゃあ、行こっか」
「うん」
そう言って俺たちは歩く。
「...」
「...」
お互い何も喋らない。
そして、しばらくすると
「雅」
と、俺を呼ぶ。
「ん?」
「好き..」
遥は真面目な顔でそう言ってくる。
「ああ、俺もだよ」
「...うん」
「急にどうしたんだ?」
と、俺が聞くと
「私ね..少し不安なんだ」
「不安?」
「うん、だって美央はすぐに雅を誘惑するし..」
「それは..悪かった」
「別に雅が悪いわけじゃないよ...でも..このままじゃ..いつか雅が取られるんじゃないかって..私怖くて..」
遥の声が少し震えている。
「大丈夫だ、心配ないよ」
「...本当?」
「確かに俺は誘惑に惑わされてるかもしれないけど...でも俺は遥が好きだから、気持ちは変わらないよ」
「そっか..じゃあ証明して?」
「証明?」
「うん、私にキスしてよ」
「ああ、お安い御用だ」
そして、俺は遥の唇に自分のを重ねる。
何度キスしても遥の唇は柔らかく気持ちいい
「違うでしょ?」
しかし、遥は満足していない様子だ。
「え?」
「その...もっと濃厚なの..して..?」
遥は恥ずかしさで顔を真っ赤にしながらそう言う。
「え⁉︎」
雅はかなり戸惑う。
「そ、それって...」
「だめ..かな...?」
遥が悲しそうに言ってくる。
「い、いやしようか..」
そう言って俺は遥の肩に手を置く。
「するぞ?」
「うん」
そう言って、遥は目を閉じる。
「...」
「...」
そのまま、雅は遥の唇に自身の唇を重ね、舌を入れディープなキスをする。
そのまま、俺の唇と遥の唇が動き回る。
遥の舌は熱く俺の舌とは全く種類が違う様で、とても愛おしく感じる。
「はぁっ..ふわぁ...」
遥の時々漏らす吐息もより一層愛おしい。
しばらくお互いの舌を味わっていると、
「はぁっ..も、もうダメ!」
と、遥は言い唇を離す。
「も、もういいのか?」
「う、うん、もう堪能したし!」
遥は幸せそうな笑顔で言ってくる。
「そっか」
「うん!ありがとう雅」
その後、俺は男子寮、遥は女子寮に戻りそのまま眠りに落ちた。
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