流しそうめんは、罪の味
流しそうめんは、仕切り直しとなりました。
待っている間、竹でお椀を作ってみます。おお、いいですね。サイズもボリュームも、ちょうどいいです。ガラスと違って持ちやすく、いい感じの器ができあがりました。
「これでOKだ。流すぜ」
「お願いします。ソナエさん」
わたしがサインを出して、ソナエさんがそうめんを流します。
「いったぞー」
ソナエさんの合図で、サジーナさんがそうめんをキャッチしました。
「お見事です、サジーナさんホワタ!」
おっと。わたしも自分の分を見逃しません。
「いただきます」
「はい。いただきます」
サジーナさんと一緒に、そうめんを口に。
んふふ。
待ち望んだだけあって、見事な味わいになっています。暑さも手伝って、実にみずみずしいですね。野菜のような清涼感です。実質カロリーゼロと言っていいでしょう。
まだ子どものサジーナさんは、薬味には手を出していません。
わたしは、おネギやショウガを器に追加しています。これもまた、味を引き立ててくれますね。
「どんどんいくぞー」
「お願いします」
ソナエさんが、そうめんを次々と流します。
「ホワタ! ホワチョ!」
サジーナさんが逃したそうめんを優先的に、わたしはキャッチしました。取りすぎた分を、サジーナさんへ戻してあげます。
ホワタ! 罪深い! ホワッタ! 罪深い! ホワチョウ! 罪深い!
ああ、清涼感にあふれる味です。
「ホ痛ァ……」
わさびのツーンとした攻撃に、脳天を殴られた感じになりました。ああ、わたしとしたことが、つけすぎましたか。まだ、目の前に星が舞っています。
「もっと涼しい味があるぜ」
「なんです」
「こいつだ」
ソナエさんからいただいたのは、スダチを浸けたオツユでした。
「いただきまホワタ!」
油断していたら、そうめんが流れてきます。
「フェイントにわたしが引っかかるとでも思いましたか、ハシオさん?」
「まいったっすね。急にそうめんが来たので、ってシーンを見られると思ったんすけど」
ハシオさんが、頭をかきました。
ならば、その急に来たそうめんを、スダチのオツユへつけて。と。
「うん! 罪深い! でも酸っぱい!」
酸っぱいですが、それがまた淡白なそうめんに合うというフィット感がたまりません。
「もういっちょいってみっか?」
「はい。ホワチョ!」
絶妙に酸味の効いたそうめんを、噛み締めます。
「お次はこいつだ」
おお、つけ麺ですか……。
「ホワチャアーッ! これは罪深い!」
冷たいしょう油ダレでいただくと、これまたいいです。
そうめんといっても、いろんな食べ方があるんですね。
「んじゃ、デザート流すぞー」
デザートを流すですって!?
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