クラーケンたこ焼き

「ごきげんよう。クリスの仲間で魔術師のヘルトルディス・コットよ」

「はじめまして、シスター・クリスと同期で同室のエメリーン・スミスよ。エマと呼んでちょうだい」


 これは、業深エロい。

 いです。

 一触即発の様相です。

 ワタアメのように、甘くは行かないでしょう。


「聞いたことがあるわ。教会きっての爆乳持ちがいるって。あなた目当てに、信者が増えたとも」

「あたしも、ヘルト・コットの話は知っているわ。魔術を使わず、モンスターを魅了できる女性大魔法使いのウワサを。まさか、こうしてお目にかかれるなんて」


 ドンと二人の巨乳が、大迫力で迫ります。やはり、張り合っちゃいますよねぇ。


「お互い、浴衣は窮屈よね? お察しするわ」

「ええ、そうね。でも汗が抜けてくれるから、すぐ乾いてくれるわ」


 なんか、意気投合しています。


 二人は隣り合って、座りました。


「クリス、この子とは話せそう。しばらくご一緒するわ」

「いいわね。クリス、しばらく一人で屋台でも回っててちょうだい。合流地点はわかるわよね?」


 どうやら、巨乳連合が出来上がってしまったみたいです。


「そうですか。ありがとうございます、エマ。では、自由にやらせていただきます」


 貧乳は、クールに去りましょう。


 さて、誰もいなくなったことですし、欲望を解放いたしましょう。


 ジャンボソーセージ、ジャガバターを購入しました。

 あとは、焼き鳥の串も外せませんね。

 カルビ串はやめておきましょう。ソーセージがありますから、食べ過ぎちゃいます。

 野菜は、キャベツ焼きがありました。これにしましょう。

 おでんもありますが、お腹と相談ですね。


 たこ焼きを売っている、休憩所を見つけました。ここに座らせてもらいましょう。


「おや? シスター・クリスじゃないか」


 魔女のローブを着た女性が、屋台でたこ焼きを作っていました。

 とてもたこ焼きを売るような風貌には見えないのですが。


「それがあなたの今のシノギですか? シスター・ローラ」


 なんと、たこ焼きを焼いているのはシスター・ローラでした。 


「どっちかっていうと、討伐依頼の方かな? さっき退治したクラーケンを、焼いているんだよ」

「そうですか。ここは、海が近いですからね」


 聞くと、花火を打ち上げる島を荒らしていたモンスターを、ローラ先生たちで蹴散らしていたとか。そのときに余ったクラーケンの足を、分けてもらったそうです。


「他の二人は、随分と依頼に手こずっていたようだねぇ。ヒーラーが用事で来られないってんで、アタシがピンチヒッターになったってワケよ」

「すいません、おまかせしてしまったようで」


 わたしは、幼稚舎の引率がありましたので、冒険者の仕事ができませんでした。


「いやいや。お仕事ご苦労さん。ここで会ったのもなにかの縁だ。たこ焼きをタダにしてやるとは言えないが、おまけしておいてやるよ」


 ラムネをおまけでつけてくれました。代金は建て替えてくれるようです。

「それにしても、シスター・ローラ。なにゆえ、たこ焼きに?」

「うまそうに見えるからさ」


 慣れた手付きで、ローラ先生はたこ焼きをひっくり返しました。やはり、こちらが本業に思えます。


「たしかにそうですけれど、ゲソとして売ってもよかったのでは?」


 クラーケンの足なら、姿焼きで出したほうが映えると思うのですが……。


「やだよ気持ち悪い。足がニュって出てるんだよ?」


 露骨に、シスター・ローラが嫌な顔をしました。


「歯ごたえがあって、美味しいじゃありませんか」


 モンスター特有の弾力がたまりません。干物にしてもおいしいです。


「あれの見た目で食うの? 人間って奇妙な生き物だね。アタシの美学には反するよ」


 彼女の美学が、理解できません。


「よし、冷めないうちに食いな」

「いただきます」


 木の皮にたこ焼きを乗せてもらい、テーブルまで運びます。


 席を確保して、いざ実食です!

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