第1294話 マックス非対応

「マックス様、お待たせしました。」

マックスが客間に通され暫くすると少し汗ばんだカルラがやってくる。

「カルラさん、何をなされていたのですか?」

「少しおかあさんと歌の練習を、近々、神様を集めたコンサートをやるようになりまして。」

「コンサート!!」

「メインはおかあさんなんですけど、私も少し参加する予定なんです。」

「カルラさんがコンサート・・・」

マックスの意識が別の世界に飛ぶ・・・


「マックス様?」

「おっと!失礼しました、さぞかし天上世界を味わえるのでしょうか。」

「天上世界というか天上の人達が集まると言いますか・・・」

カルラは少し苦笑する。

「カルラさん!そのコンサートに私も鑑賞する事は可能ですか!!」

「それはおとうさんか、ヘルマンに聞かないとわからないかな?」

「ヨシノブかヘルマンくんですな、あとで聞いておくとしましょう。」

「それで本日はどのようなご用事で参られたのですか?

私は急に呼ばれて何も聞かされてなくて、失礼ですが教えていただけないでしょうか?」


「あっ、いや、先日の戦いに参加出来なかった事をヨシノブに抗議・・・もとい直談判に来ていたのです、そしたらヨシノブはギックリ腰の治療を行うとの事でその間カルラさんにお会いするように言われたのです。」

「そうでしたか、失礼しました。

急に起きた事件でしたので、すぐに動ける人達で行動を起こしたのです。

もう少し長引くようならマックス様にも救援を求めていましたよ。」

「いや、私の方こそカルラさんが戦場に向かった事を察する事が出来なくて申し訳無い、まさかこの私が遅れを取るとは・・・」

「知らなかったのですから仕方ないことです。

マックス様もマインズ王国でのお仕事もございますから。」

「仕事などどうにでもなるのです、武人たる自分は戦場に立ってこそおのれの価値を知らしめる事になるのです。」

「勇ましいお言葉ですね。

あっ、そういえば今アナベルさんがアキラさんのご指導を受けていたはずです。

ご一緒に訓練なされるのは如何でしょう?」

「アナベルが訓練を?」

「はい、先日の戦いで剣として盾として、まだ高みがあると言ってアキラさんに頼み込んでいました。」

「ほぅ・・・

私も武人として遅れを取る訳にはいきませぬな、老師にご指導受ける事にしましょう。」


「それでは私はタオルとかのご用意をしておきますね。」

「お願いします!!

カルラさんの前で不甲斐無い姿は見せられませぬな!」

マックスは気合充分にアキラの訓練を受けに向かう。


「ねぇ、カルラ、なんでお茶を切り上げて訓練に回したの?」

「聞いてよリミ、どれだけ大変だったのかも考えずにおとうさんに抗議に来たなんて言ったのよ。」

「あー、まああの人脳筋だからね・・・」

プンプン怒っているカルラを見てリミは苦笑いである。

どうしてマックスはカルラの前で失言するのだろう、もっとヨシノブを褒めるように会話をすればカルラは上機嫌になるというのに・・・


「カルラ、怒るのはそれぐらいにしなさいよ。」

「むぅ、わかってます、でも少しぐらいはいいでしょ。」

まだ少しむくれるカルラをおいて、窓の外では元気に訓練を受けるマックスの姿があった。

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