第686話 贈り物選定中?
「ヨシノブさん!あなたはいったい何を・・・」
夜にヨシノブの自室まで文句を言いに来たファイの瞳に止まるのは俺が呑んでいた様々なウイスキーの瓶だった。
「ファイか、ちょっと飲み比べをしようかなと思ってね。」
俺はクラルが女の子達とお茶会に入った事を見届けて、ウイスキーの味見をしていたのだ。
「なんでこんなに並べているんですか?」
「今度、贈り物として贈ろうと思ってね、どれがいいか考えていたんだ。」
「贈り物ですか?」
「この前アナベルを含めてマインズ王国の人達に世話になったからね。
向こうもそろそろ落ち着いてきたと思うから、お礼として持っていこうかと。」
俺はおツマミに用意していた鮭とばを口にする。
「そんなことより、女の子との距離を・・・」
「ファイも飲んでいくか?これなんかスモーキーでいけるぞ。」
俺はアードベックというウイスキーを差し出す。
「いただきます。
・・・これは中々、スモーク香の中にモルト由来の甘さが・・・美味しいです!」
「だろ、ファイは好きそうだと思ったんだ。」
俺はファイと飲むのを気に入っていた。
美味しい物を美味しいといい、しっかりと味わうファイの食し方は見てて気持ちが良いものがあった。
「これもフォルサに贈ってやるか。」
「お父様にはもったいないです。私が飲みます。」
「ファイはいつでも飲めるだろ?フォルサにも味わせてやれよ。」
「お父様の味覚でこの繊細な味がわかるわけありません。」
「いやいや、わかるって。」
ファイの言葉に俺は苦笑がでる。
悪くは言ってはいるが父親の味覚をよく知っているということはそれだけ仲がいいのだろう。
俺も子供達と酒を飲む日が待ち遠しくなるのだった。
俺が笑っている間にファイはオツマミにも手を出す。
食べているのは高級缶詰だった。
「そういえば、乾き物ばかりてすが、オツマミを何か作ってきましょうか?」
食べながらファイが提案してくる。
「ありがとう、でも贈るツマミも厳選中なんだ、美味しいと思った物を教えてほしいかな。」
「なるほどそういうことですか、なら任せてください!全部開けて食べ比べますよぉ〜」
ファイの目が輝き、次々食べていく。
「ファイ、頼んで何だけど食べすぎるなよ。」
「美味しいのが悪いんです、あら、これも美味しいですぅ〜」
ファイは幸せそうに口に運び次から次へと食べては飲んでを繰り返していく、当初のクレームはすっかり忘れていた・・・
翌朝・・・
「あらファイさん、どうしたんですか?」
カルラは恐る恐る体重計に乗り降りを繰り返し、再び服を脱いで再度乗るファイに声をかける。
「昨日、少し・・・いえ、きっと体重計が壊れていたんです。」
「そ、そうですよね、その体重計が壊れているんですよね。」
カルラもファイと同じように現実をみようとしない。
「うにゅ、二人共食べ過ぎなのよ、食べたら運動しないとお肉増々になるのよ。」
「「やめて〜〜〜言わないでぇ〜〜〜」」
シモの言葉にファイとカルラの悲痛の叫びが木霊するのだった・・・
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