第674話 交渉成功

「ふむ、ファイ嬢はいい関係を築けているみたいだな。

ファイ嬢、クラルの事も宜しく頼むぞ。」

俺とファイの関係が良好そうなのを見て、リリスは満足気にしている。


「それは勿論お引き受け致します。」

「うむ、そなたと仲の良いルエナをクラルの側付きとして一緒に同行してもらう、共に職務に励むと良い。」

「はい。」

自由奔放なファイといえど太后相手には自由に出来ないのかしおらしく聞くしかないようだった。


「リリスさん、それで滑走路はどうします?

ファイの言うとおり、滑走路と管制室などがあれば輸送がかなり早くなるのですが、この地に私の拠点になり得る物を作っていいのか考える所があります。」

「かまわん、ファイ嬢の部下という形を取るなら誰も文句は言えんじゃろ。

ワシからも口利きを致すから安心して作ると良い。」

「わかりました、雇う人は後日になりますが、滑走路と管制室は明日にでも街の郊外に作らさせてもらいます。」

「うむ、これで皆の要求を満たす事が出来よう。」

リリスは交渉が上手くいったことに上機嫌だった。


満足している、リリスにローラがお茶のお代わりとケーキを持ってくる。

「ローラありがとう、リリスさん、どうぞルーカス商会で販売しているケーキです。」

「おお、これがケーキというものか。」

リリスは一口食べて目を丸くする。


「うむ、凄く美味であるな、サタナスがこだわるのもわかる気がする。」

リリスは美味しそうに食べていく。

「これも空路からなら持ってこれると思いますよ。」

「ふむ、となるとこちらからも他の産物を見繕う必要もあるな、魔王領でしか入手出来ぬ物を用意しようではないか。」

リリスは頭の中に各種薬草、鉱物、生産物をリストアップしていく。


「俺は品物に疎いですから、取引に来た商人と話してください。

きっと適正な取引になると思います。」

「うむ、こちらも宜しく頼みたい。」

俺とリリスは固く握手を交わし、話し合いは終結するのだった。


「良かったです、魔族の滅亡を防げました。」

俺とリリスの握手を見て、ファイは大粒の涙を流していた。

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