第663話 アキラ、ハルノブを背負い・・・
アキラはハルノブを背負って庭に来ていた。
「ハルくんや、どうじゃ外の景色は。」
「あーだぁ。」
ハルノブは外の景色をキョロキョロしながら上機嫌ではしゃいでいた。
「そうじゃろ、外は気持ち良かろう。
じゃがの、外には危ない事も一杯あるのじゃ。」
「だぁ?」
ハルノブはよくわからないのか、うにゅとしている。
「アキラ、用意は出来たが本当にやるのか?」
アキラの前にイゾウが現れる。
「うむ、これもハルノブの為じゃ、心を鬼にする必要がある。」
「・・・いいのか?」
「かまわん、責任はお主に任せる、安心しろ。」
「・・・待て、責任は俺なのか?」
「なんじゃ、ワシが嫌われても良いと言うのか?友達がいのない奴め。」
「待て待て、俺も怒られるのは嫌だぞ。」
「ええい、些細な事をグチグチ言うな、その檻か。」
アキラはイゾウの横にある檻を斬り、中の物が出れるようにする。
「あっ、やりやがった。」
「ほれ、ハルくん、よく見るんじゃぞ。」
アキラはハルノブを手に持ちよく見えるように前に出す。
「だぁ?」
檻から出てきたのは虎の魔物であった・・・
「うわぁぁぁん」
ハルノブは虎が放つ殺気に泣き始める。
「ハルくん、怖いか。
外にはこのように怖いものが沢山おるのじゃ。」
ハルノブが泣く中、アキラはハルノブに教えるようにユックリと話す。
虎の魔物からすれば眼の前にいる赤子など餌でしかない。
虎はハルノブに襲いかかる。
アキラは虎の顔面を蹴り、吹き飛ばす。
「ハルノブよ、強くなるのじゃ。
強くなれば、どのような相手にも負けることはない。
見よ、ハルノブが怖がった相手でもワシなら勝てる。
じゃが、ワシがおらねばどうなる。
今のハルノブだと食べられてしまうであろう。
それで良いのか?
否!
漢とは強くあらねばならん。
今は勝てなくても、明日には、明後日には勝てるよう、心身を鍛えるのじゃ!」
アキラはハルノブに虎の姿を見せつつ、しかと語る。
泣き続けていたハルノブも少しずつ泣き止み、虎をしっかり見る。
「うむ、それでこそ、ワシの孫じゃ、よく見ておれ、今はワシが倒そう。
じゃがゆくゆくはハルノブが皆を助けてやれるようになるのじゃぞ。」
アキラはハルノブを背負い直し、刀を構える。
「桐谷流奥義、桜花一閃」
アキラは虎を斬り裂き、ハルノブに圧倒的チカラを見せる。
ハルノブは眼を丸くしていた。自身にとって圧倒的強者であり、命の恐怖を感じた相手が一瞬で動かなくなる。
アキラの強さを潜在意識に刻み込まれた瞬間であった。
「アキラさん、どこですか、ハルくん。」
ハルノブを探すカルラ達の声が聞こえてくる。
「これはいかん、イゾウ片付けておけ、ワシはハルくんを連れて誤魔化してくる。」
「アキラが誤魔化そうとするなどとは珍しいな。」
「おなご共はいかん、すぐにサリナさんに報告するからのぅ。」
「アキラも苦手な者ができたか。」
「ハルくんに会わせてもらえなくなるのは辛い。
ワシの余生の楽しみが無くなるではないか。
おっと、話している場合じゃない、イゾウ後は任せたぞ。
行くぞハルくん。」
アキラはハルノブを連れてカルラ達と合流するのであった・・・
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