第642話 閑話ルーデルの武者修行2
「ルーデル、A-10に乗る許可がおりたぞ。」
トーマスは申請していた許可が出た事をルーデルに伝える。
「じゃあ乗っていいんですね!」
ルーデルは目を輝かせている。
「無理はしないように。」
「はい!!」
トーマスはルーデルを連れて空に上がる。
「ルーデル調子はどうだ?」
「最高です、こんなにも自分の思い通りに動くなんて!」
ルーデルは機体を気に入ったのか、テンションMAXになっている。
「そんなにいいのか?かなり古い機体だぞ。」
「こいつにはスペックに無い、性能を感じます!」
「よくわからんが楽しんでいるなら何より・・・ってなんだ?」
トーマスに通信が入る。
通信では近くで友軍機が交戦に入っているとの事で至急応援に向えとの事だった。
「ルーデル、俺は戦場に向かう。お前は基地に戻っていろ。」
「お言葉ですが、教官を置いて地上になど戻れません!僕に仲間を見捨てる卑怯者になれと言うのですか!」
「しかしだな、御前は我が国の客であり、何かあってはいけないのだ!」
「大丈夫です、僕はやれます!」
「そういう問題じゃ・・・チッ!こっちにも来ていたか!ルーデル話はあとだ、敵を倒さなければならない事態になった。」
「こちらも識別しています、直ちに戦闘に移ります。」
ルーデルは言うが早いか、すぐに上昇していく。
「ルーデル!一人で行くな!って切れてやがる!」
ルーデルが通信を切ったのではなかった、ルーデルが流した魔力を機体が受取り、一時的に通信不良が起きたのであった。
「これはいい機体だ!」
思い通りに動く機体にルーデルは上機嫌だった。
速度は遅いものの、思い通りに動く機体に興奮が止まらない。
「待て、ルーデルA-10は空中戦に向かない、一度下がれ!」
「トーマス教官、そんなことを言ってる場合じゃないです!もう敵は目の前です。」
「くっ!ルーデル、俺が倒してくるまで、撃墜されないようにするんだぞ!」
トーマスは先行して、戦闘に入る。
自身に引き付ける事でルーデルの負荷を下げようとしたのだ。
しかし、敵もA-10が飛んでいるのを見逃さない、トーマスが相手をしている2機とは別に1機がルーデルに向かってくる。
「ルーデル!」
トーマスの悲鳴に似た声がスピーカーから聞こえる。
しかし、ルーデルは落ち着いていた。
正面から向かってくる機体にルーデルは逃げずに正面から仕掛ける。
「さてさて、A-10お前のチカラを見せてもらおうか!」
装備されているガトリング砲の狙いを定める。
敵は空対空ミサイルを撃ってくる。
ルーデルは落ち着いてミサイルをガトリングで撃ち落とす離れ技で自機に当たる前に爆発させ、爆発で視界を奪った瞬間大きく上昇、敵の真上から急降下を行い、ガトリング砲でハチの巣にするのだ。
「よし、最高だ!」
ルーデルは歓喜の声を上げるが、敵だけでなくトーマスすら一瞬固まってしまう。
それもその筈A-10は爆撃機である、それもかなり古い機体だ。
爆撃機は地上を攻撃するための物だ、それが空中戦に重きを置く戦闘機を正面から撃墜するなんて・・・
全員が固まったスキをルーデルは見逃さない。
一気に急上昇して敵機と距離を取る。
トーマスを相手していた二機は先にルーデルを落とすことにしたようだ、ルーデルを追い距離を詰める。
「俺を無視していいと思ってるのか!」
トーマスは即座に敵の1機を捕捉、撃墜する。
「さて、あと1機か・・・」
トーマスは確認する。
すると、残りの1機が火に包まれ落ちていくのだった。
「やったのはルーデルか?」
「トーマス教官!無事ですか?」
「ああ、大丈夫だが・・・よくその機体で戦えたな。」
「この機体は完璧ですよ、何というか身体に馴染むというか・・・
そうだ!この機体を自衛隊に登録出来ないのでしょうか?」
「俺にはその権限がないが、ワシントン大統領から話を持ちかければ何とかなるかもしれないな。」
「そうか・・・おとうさんに相談しないと。」
ルーデルは基地への帰路につきながら、どうやってヨシノブを説得するか考えていた・・・
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