第630話 走れフランツ
フランツは必死で走っている。
事故の際に負ったケガにより、血が足りず、ふらつく身体に鞭打って、足を動かし続ける。
一秒でも早く救援を得ないとカルラの命に関わる。
フランツは自身の身体の事などどうでも良かった、仲間のアルバート、カルラ、二人の身が心配なのだ。
最初に怪我などしなければ・・・
走るフランツの脳裏に悔いる思いが生まれる、だが、すぐに振り払い、足を動かす。
今は後悔などしている暇はない、思考を止めてでも、足を動かさなければ・・・
「何者だ!ここはビザ軍である、敵対者ではないなら足を止めろ!」
必死で走るフランツを周辺警戒をしていたビザ軍が見つける。
「敵じゃない!カルラの仲間だ!
救援を!至急救援をお願いします。
カルラが、僕の仲間が危ないんです!」
「何!それが本当ならばすぐに向かうが話を聞かせてくれ。」
「話している時間が無い!このままだとカルラが死んてしまう、お願いだこのまま真っ直ぐに行った所にある、林の中にいるカルラを助けてください。」
偵察隊の指揮をしていた男がフランツを見つめていた。
口からは血が滲んでおり無理をして駆けて来たことは明白だった・・・
「わかった、すぐに向かう。誰かこの者の手当てを!あと本陣におられるズル様に至急連絡を、カルラ殿の危機を伝えるのだ。」
「ハッ!ただちに!」
「残りの者は我に続け、少数とはいえ先行するぞ!」
「ありがとうございます、この恩は忘れません、せめて名前をお聞かせ願えませんか。」
「私はアナベル、ズル様の下で部隊長をさせてもらっている身だ。」
「アナベル様ですね、どうかカルラをお願いします。」
「心得た!行くぞ!」
アナベルは偵察に来ていた僅かな部下を連れて危機の迫るカルラの所に向かい進むのだった。
一方、カルラを探すアシタ達は少しずつだがカルラに近づいていた。
「カシラ、足跡が分かれてます、見捨てたんてすかね。」
「ふむ・・・」
アシタは少し考える、仮に上官がいたとして、どっちが上官かと・・・
追手に気づいたとして、上官を置いて逃げたのか、上官が見捨てて逃げたのか・・・
「おい、アシタどうするんだよ。」
「うるさいな、少し待てって・・・」
「悩むぐらいなら二手に別れようぜ、俺はこっちの足を引きずっている方に向かうからよ。」
「・・・そうだな、それが確実か、ビチャ殺すなよ、人質にして交渉材料にするからな。」
「わかってるよ、おいお前らついてこい。」
ビチャは二百の兵を連れてカルラを追うことにする。
「残りは俺と共に走っている方を追うぞ!」
アシタは三百の兵を連れてフランツを追いかけて行ったのだった。
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