第615話 止まらないマックス

「ヘルマン、一大事よ!」

マックス達が出陣の準備をする中、カルラは基地に連絡を入れていた。


「なんだカルラ、マックスに襲われたか?」

「そんなんじゃないわよ!マックスがティエラ連邦を襲いそうなの!」

「お前じゃなくて、ティエラ?」

「何をボケた事を言ってるの!マックスが戦争を仕掛けそうって話よ!」

「・・・なんで?国境封鎖だけのはずだろ?」

「知らないわよ、何か勘違いをさせたみたいで、仇討だぁーって、こっちは盛り上がってるわ。」


「わかった、こちらも対応するが巻き込まれないように手綱を握ってくれよ。」

「自信がないわ、すぐさま突撃しそうな雰囲気なのよ。」

「・・・健闘を祈る。」

ヘルマンはサッサと通信を切る。


「ちょ、ちょっと待ちなさいヘルマン!もう!」

カルラが呼ぶもヘルマンはサッサと撤退していた。


カルラが通信室から出て外を見ると軍人が慌ただしく準備をしている。

その姿を見て住民達が応援しているのが印象的だった。

きっと無関係なら街が一丸となっている素晴らしい光景なのだろうが、今のカルラには心苦しく感じる。


「全軍に告ぐ、カルラさんの父ヨシノブの仇を討つため、我らはこれより修羅となる。

臆するものは街に残れ!

修羅とならんものだけ我に続け!」

マックスの号令の元、全軍が出撃していく。


住民達はそれを声援で見送っていた。


「カルラ様は街に滞在なされてください。

心のキズが癒えるまでゆっくりなされてください。」

マックスの騎士の一人、トリスタンが護衛として横に立っており、カルラに街に残るように勧めるが。

「いえ、私も行かなくてはいけませんので・・・」

カルラはマックスを追い駆けるように軍についていくのだった。


一方、レックスはマックスが率いる軍の動きを知るのだった。

「なんだと!ロモンの街が戦の準備をしているだと!」

「はっ!ビザ領の全軍と思われる程の大軍にございます。」

「奴らは山が火を噴きそれどころではないはずなのだが・・・」

「レックス様、どうなさいますか!」

「仕方ない、首都に援軍を求める。

政治的思惑はあるだろうが、マインズ王国が攻めてきた以上、援軍を出すしかないだろう。」

レックスはジャミの一件がありつつも本国に救援を求める。


しかし、本国ではジャミを討った事、そして、首脳陣を弾劾したことにより、レックスに対して批判的な声が多く、レックス派閥から一軍が送られてきただけになる。


「これだけか・・・」

レックスの顔色は悪い、マインズ王国が勇猛で鳴るマックス騎士団長自らニ万の大軍を率いて来ているのにレックス領には援軍を合わせても一万二千しかいない、数で劣るレックスは籠城する事を検討するのだった・・・

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