第603話 お呼び出し

アマテラスが爆弾発言をしたあと、どこかと話し出す。

「タラニス、久しぶり〜元気にしてた?

うん、もちろん私も元気だよ。

今ね、アーアの世界で可愛い子供の結婚式してるの。

えっ、やだな、ちゃんとこの辺りは私の支配下だよ。

もう、今はいいでしょ。

それより、暇ならこっちにこない?

貴方の管轄の子が会いたいみたいなの。

うん、待ってるからすぐにきてね〜」


「ヨシノブ、タラニスがすぐに来ますから。

少しだけ待っててください。」

アマテラスは何事でもないように言うが俺を含めて全員の顔が引き攣る。

「アマテラスさん、タラニスさんが来るのですか?」

「もちろんです。まあ身支度がありますから、もうチョットだけ待ってくださいね。」


「・・・ジョー、レオ良かったな、神様に会えるぞ。」

俺は二人に向き直し、現状を伝える。

二人も認めたくないのか思考が停止しているみたいだった・・・


「ヨシノブ、そんなに簡単に神に会えるのか?」

ジョーは言葉を絞り出す。

「アマテラスさん経由だからね、神様同士何かあるんだろ。」

「おいおい、俺達不味くないか、今まで名前も知らなかったのに・・・」

レオの表情は少し暗い。


「大丈夫じゃないか?アマテラスさんもいるようだし、これを機会に話し合えたら二人も安心できるだろ。」

「ヨシノブ他人事だと思って軽く言うなよ。」

レオは俺の口調が軽いことをせめる。


「だってなぁ、他人事だし。」

レオが思い悩む姿に俺は少し楽しくなっていた。


レオは気にしているみたいだが、アマテラスさんが呼んでくるぐらいだ、レオが思っているように責められたりはしないだろう。

俺はノンビリした気持ちで待っていると、


「アマテラス来たけど、何でこっちに神域をつくっているのよ!」

「私の愛し子を守るためですから。これは仕方ない処置なのです。」

「やりすぎよ、この場所にアーアの力が全く入ってこないようになってるじゃない。」

「当然です。私の領域なのですから。」

堂々と答えるアマテラスにタラニスはため息をつく。


「タラニス、そんな事を聞くために呼んだんじゃないんです。

見てください、貴女の愛し子達ですよ。」

アマテラスはワシントンとレオを指差す。

ワシントンとレオは涙を流しながらひざまずいていた。


「あら、ウチの子達じゃない。

・・・でも、それがどうしたの?」

「あのね、この子達貴女の名前も知らずに信仰していたことを悔いているのよ。」

「あー、そういえばそんな状態だったわね。」

タラニスは何でも無いことのように話す。


「・・・あ、あのお怒りでは無いのですか。」

ワシントンは勇気を出して話しかける。

「そりゃ〜600年ぐらい前は怒っていたわよ、でもね、名前を伝えないとはいえ、世界一の信仰心をくれたんだもの、そこは寛大な心で受け入れたわ。」

「あ、ありがとうございます。」

ワシントンは礼を言う。


「それに名前を知らないと言うことは祝福もいらないって事だし、管理が楽な事に気づいたのよ。」

「・・・えっ?」

「だって、そうでしょ?

拝んでくれているけど、私に話しかけてくるわけじゃないし。

アマテラスなんてワザワザ願い事を聞いて叶えるかどうか検討してるのよ、面倒くさいじゃない。」

「タラニス、それが普通なんですよ。」

「えー、私は今のほうがいいなぁ〜」


どうやら話を聞く限り、タラニスは怒ってはいないようだが、特に面倒を見ることも無いようだ。

日本人でよかったと思えた。


「そんな・・・我々の願いは届かないのですか・・・」

ショックを受けているのはレオとワシントンだった。

「そりゃそうでしょ、私呼ばれてないもの。」

タラニスもアッサリ答えるのだった・・・


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る