第590話 杉本の動きと友人達

「ヨシノブとの対談はできないのかね?」

杉本は案内をしていたローラに質問する。


「おとうさんは準備に忙しいので時間が無いのです。」

ローラはアッサリ断る、来た瞬間に噛みつくような相手におとうさんの時間を使わすつもりはない。

それに現在ヨシノブへの面会希望は多数あった。

日本の同行者なだけの杉本に無理に会う必要性は感じられなかった。


「私はヨシノブにとっても大事な話を持っているんだ、至急会うように手配してくれ。」

「おとうさんにとって、大事なこと?」

ローラはヨシノブにとって大事な事ということに少し気になる。

杉本もローラの変化に気付き、

「そうなんだ、ヨシノブの利益になる話だ。」

ローラは少し考える・・・

「少し確認してみます。」

話を持ち帰り、ヘルマンに確認を取るのだった。


「ブラフだな。」

ヘルマンはアッサリと切り捨てる。

「ヘルマン、それでいいのかな?」

「あの程度の者が何を提供出来ると思う?

必要なら他から入手もできるだろう。

特別に配慮する必要はない。

だが、くだらん奸計を使ってきた以上、杉本というやつの見張りを強化する必要があるな。」

ヘルマンの指示の元に杉本に見張りがつく。

これにより、杉本に自由はなくなるのだった。


一方、リョウが連れてきた人の中にはヨシノブの友人も含まれていた。

「ヨシノブ、久しぶりだな。」

「ダイキ、よく来たな。」

「せっかくだからな。学生以来か?」

ダイキと会うのは本当に久しぶりだった。


「同窓会で一回あっただろ?

まあ、久しぶりには違いないな。」

「あーあったな同窓会。すっかり忘れてたよ。」

「お前とリョウがはっちゃけて大変だったのに忘れるとは・・・」

「なんのことだが・・・」

ダイキは目をそらす。


「ヨシノブ、俺を忘れるな。」

「ヒロキ、忘れてないって、どうせお前が来た理由はわかっているんだ。」

「当たり前だろう、せっかく異世界に来れるのに来ない訳がないだろ!」

ヒロキはトレジャーハンターとして活動しているやつだ、異世界なんてファンタジーに喰い付かない訳が無い。


「さぁ、世界の不思議を探しに行こう。」

「待て、俺は結婚式があるんだ。」

「・・・あとでいいだろ?」

「お前は何をしに来たんだ?」

「・・・お前を祝いにきた・・・はず?」

「なんで疑問形なんだ、まあ結婚式が終わったら調査していいから。」

「本当か!地球とこの世界の繋がりから調べなければ!」

「適当に古文書を取り寄せておくよ、いいか結婚式までは大人しくしてろよ。」

「おう、大人しく読書しているよ。」

ヒロキにルーカス商会を通して、歴史書等を渡す事にする。

ヒロキは結婚式まで大人しく読書をはじめるのだった。


俺達は久しぶりに集った学生時代の友人と旧交をあたためる、良くも悪くも友であり、その雰囲気は懐かしく俺としては楽しい時間を過ごすのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る