第594話 神の目撃者

俺とサリナ、そして子供達が天照大神の登場に驚くことは無い。

だが、他の人は違う。


「な、なんなんだ、この涙は・・・」

宮木を含め、日本人の参加者は全員ひざまずき、杉本を除く全員が涙を流していた。


「宮木総理、どうした何で涙を流しているのだね?

それにあの方は何なんだ、あの方を見ていると身体が勝手にひざまずかなければならない。」

アメリカ、イギリスの関係者はひざまずいてはいたが涙は流していなかった。。


「わ、わからない、ですが涙が止まらないのです。リョウくん、あの方は誰なんだ?」

宮木は事情を知っていそうなリョウに質問する。


「天照大神」

リョウはサラッとこたえる。

「あまてらすおおかみ・・・ええ!!天照大神!!」

宮木は驚きの声を上げる。


「そう、その天照大神。」

リョウは宮木が気付いた事が正しいと伝える。

「リョウくん、それは神話の・・・神様じゃないか、そんな存在が本当にいるのか?」

「その涙と姿勢が答えじゃないかな?

見る限り日本人は涙も出るみたいで他の国の人は涙が出ないけどひざまずくだけみたいだね。」

リョウは冷静に状況を見ていた。


「神様がヨシノブさんを祝福しているのかい?」

「そうだね、俺にはそうとしか見えない。」

「リョウくんは何でそんなに冷静なんだ!」

「あー見慣れたから?あの人それなりにハルノブに会いに来てるし。」

「へっ?」

「ヨシノブの子供を凄く可愛がっているんだ、神宮を造らせてこの辺りの支配権を奪ったり、シモちゃんを通してハルノブ周りの魔力の流れを変えたり、結構腹黒いな。」

リョウは色々な術式を知るために、魔力の流れが見えていた、その分天照大神がこっそりやっていた事に気付いていた。


「リョウくん、天照大神様を悪く言ってはいけないよ、あの方は日本人の守り神じゃないか。」

「おっと、口が過ぎたかな。

宮木総理、ヨシノブへの対応には気をつけて。

アイツはお人好しだけど、周りはそうじゃない。

天照大神を含めて過激な者も沢山いるから。

日本を守りたいなら絶対に敵対しないようにな。」

リョウは宮木に注意する、リョウとて日本を滅ぼしたい訳では無いのだ。

天照大神を怒らせて滅亡したなど笑い話にもならない。

宮木に注意するのだった。


ワシントンにもリョウの言葉は聞こえていた。

キリスト教であるワシントンとしては唯一神以外の神を否定したい気持ちはあるが、今の状況を考えると否定しきれなかった。

「神は複数存在するのか・・・」

ワシントンから心の声が漏れる。

長年持っていた信仰心にヒビが入る。

だがそれと同時に神の存在が有ることが真実だとも思えた。

結婚式が終わればヨシノブに質問する事を考えるのだった。

 

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