第588話 野党議員
「待ちたまえヨシノブ、君は日本政府を蔑ろにする気かな?」
アメリカ、イギリスを案内しようとすると一人の日本人に声をかけられる。
「えーと、あなたは?」
「私は国民党の杉本だ、私の事も知らないなんて君は日本人かね?」
「もう違いますが・・・それに政治家の顔なんてあまり知りませんよ。」
「君はどれだけ不勉強なんだ。」
「国会で反対しか言わない党の人に言われたくは無いです。」
「なっ!我が党を侮辱する気か!」
「対案も出さない反対は意味を持ちませんよ。
まあ、もう俺には関係無い話ですが。」
俺と杉本が言い争っているのを見て、ワシントン大統領と話していた宮木が慌てるようにやって来る。
「杉本くん、何をしている!ヨシノブさんに失礼な事をしないように約束したじゃないか!」
「失礼な事をしているのはヨシノブの方です、よりにもよって我が党を反対しか言わない党だと言いやがって!」
「えっ、違うのか・・・いやいや、それを言われたとしても受け流しなさい。
君は何の為にこっちに来たのか忘れたのかね?」
「・・失礼少し熱くなってしまったようだ。」
杉本は口先だけで軽い謝罪をしてその場を離れる。
「宮木総理、挨拶が遅れましたね、ようこそ異世界へ。」
「君の気分を害して申し訳ない。
私としては会えて嬉しいヨ、ヨシノブさん。」
俺と宮木は改めて挨拶をし直す。
「屋外で長話もなんですから、まずは屋敷に。
部屋の準備も済んでますので、さあこちらに。」
俺は三国の関係者を連れて今度こそ屋敷に向う。
屋敷では2階にある部屋を各国ごとに振り分けており、一階は共有スペースとしていた。
「ヨシノブの部屋はどこだい?」
レオが質問して来たので。
「俺は別の所で寝泊まりしています。
結婚式の会場にもなっている場所なんですが、皆さんに当日驚いてもらえるように準備しているところなんです。」
「おや、もっと話したいのだが残念だな。」
ワシントンもレオとの会話に加わる。
「今日の晩餐会にはもちろん参加しますし、何かあれば呼んでください、まあ、異世界の事を詳しく知りたいならレオならルナを通して、ジョーはトーマスさん、宮木さんはフユさんから話を聞けると思います。
三人はこの屋敷にいますので、いつでも会えると思います。」
俺は各国から来ている人に説明を丸投げする。
俺自身準備があり、対応しきれないところがあるのだった。
「ヨシノブ、各国の代表に失礼じゃないのかね?
我々の使節団の対応ぐらい君がするべきだろう。」
杉本は不満そうに俺に伝えてくる。
「私もやることがあるので、個々の対応全ては難しいのです。」
「我々の対応以上に重要な事など無いだろう。
何の為の招待だ!」
「杉本、黙りなさい。ヨシノブさんに失礼だぞ。」
宮木は杉本の口を塞ごうとするが杉本も抵抗する。
彼としてはヨシノブとの対談を密かに行う必要があるので、ヨシノブが屋敷にいない事は困る事態だった。
それならせめて、自身への対応を直接行わさなければ・・・
焦り声を荒げる杉本にワシントンが声をかける。
「杉本といったかね、君達日本政府は何を勘違いしてるのか?
今回の訪問はヨシノブの結婚式を祝う為だろう?
我々は政治的対談を求めてここに来ていない、日本政府の考えは知らないが同じにしてもらいたくはない。
ヨシノブ、私はヨシノブの好きにしてくれて構わないと思っている、ただ暇な時は個人的に一杯ぐらい付き合ってくれよ。」
「暇なら時ならいいですよ。」
ジョーは杉本を非難しつつ、飲み会という対談を手にいれるのだった。
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