第587話 地球からの到着
「ヨシノブ、いろいろなVIPを連れてきたぞ。」
リョウも地球から帰ってくる。
アメリカからはワシントン大統領とその妻マーサがやってきていた。
通訳とSPを合わせて5人の同行者がいるがその少なさから政治に来たとは思えなかった。
「ヨシノブ、会えて嬉しいよ。」
「私もです、ワシントン大統領。」
俺はワシントン大統領と握手をかわす。
「あはは、その呼び方は堅いな、ジョーと呼んでくれ、君とは友人として付き合いたいからね。」
「・・・いいのですか?ジョー?」
「それで構わない、いやもっとフランクに話してくれ。」
ジョーは気さくに振る舞い、俺と対等に話すように求める。
「わかった、こちらこそ友人として頼むよ。」
「任せておけ。」
俺とジョーが話している中でマーサもサリナに話しかけていた。
「あなたがヨシノブさんの妻になるサリナさんですか?」
「はい、この度はよくお越しくださいました。」
「ふふ、可愛らしい方ね、そんなに。緊張しなくてもいいのよ、その若さで各国のトップとお話するのは大変だと思うけど、もっと肩の力を抜かないと倒れてしまうわよ。」
「お言葉、ありがとうございます。えーと・・・」
サリナは名前を言おうとするが教えてもらっていない事に気付いた。
「あら、いやだわ、私はマーサよ。
主人もヨシノブさんと友人になるって息巻いていたから、私達も友人になりませんか?」
「ええ、それは私としてもお願いしたいと思います。」
サリナは会話中も言葉の端で言質を取られないように気をつけていた。
「そんなに警戒しなくてもいいわ、私達は政治をしに来たんじゃないから、今回はあなた達を祝いに来たのよ。」
マーサは優しい笑顔をサリナに向け、サリナもその表情から緊張がほぐれるのであった。
アメリカは友好関係構築に成功したともいえた。
「ヨシノブ、ワシントン大統領とだけ話すのではなく、私とも話してくれないか?」
レオが少し笑いながら話しかけてきた。
「レオ、一応はじめましてか?」
「まあな、娘が世話になっているよ。」
「俺の方こそ妹が世話になっている。」
「今回、タクヤとスズも連れてきている、家族で再会を祝うといい。」
レオの同行者はカオリの家族である、夫タクヤとその娘スズであった。
他にはレオの妻ミラと息子のリチャード、姉のアイラのレオの家族と外務官としてバンクが来てはいたが、実質イギリス政府関係者はバンクの一人だけであった。
「レオ、タクヤ達はお前の同行者として連れて来なくても、別口で呼べたんだが。」
俺はイギリスとしてもう少し人員を連れて来たかったんじゃないかと思いレオに聞いたが。
「違うね、この選択が祖国にとってベストなんだ。」
「どういうこと?」
「お前に恩を売れるじゃないか、今お前が思っている思いを手にすること、これが大事なんだよ。」
「それを口に出したら駄目じゃないのか?」
「同じだよ、結局ヨシノブは恩に感じてくれるからな。」
「・・・やられたな、たしかに恩を感じたよ。
レオの考えか?」
「もちろん、政府はもう少し政府関係者を入れたかったみたいだが、今回はヨシノブの結婚式だとドレイク首相に説明したらあっさり受け入れてくれたよ。」
「お手上げだな、次の交渉が怖いぐらいだ。」
「褒め言葉として受け取っておく、さてルナはどこだ?
案内してくれないか?」
レオはルナの姿が見えないので周囲を見回していた。
「ルナは家で出迎えの準備をしてくれているよ。
さて、それでは屋敷に案内するよ。」
俺はアメリカとイギリスの関係者を連れて屋敷に向うのだった・・・
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