第572話 各国への招待状

アメリカ

「ヨシノブさんが結婚式をあげるのか。」

ワシントン大統領の元に招待状とトーマスからの報告があがってくる。

「ふむ・・・異世界への便を用意してくれるのか。

面白い!来訪してみようじゃないか!」

ワシントンは剛毅にも異世界への来訪を決意する。


「お止めください、もし何かあったらどうなさるおつもりですか!」

「危険だと言って何もしなければ、何も得ることが出来ない、ここは私自ら行くことで関係を強固な物に出来るであろう。

それに異世界に行った初めての大統領になるのだぞ。

これは歴史的快挙ではないか。」

周囲は止めるがワシントンの決意は固く、いざというときの備えだけは充分に行い、異世界への渡航の準備を進めていく。


英国

「ヨシノブの結婚式か、レオ、君はどうするんだ?」

「私は参加します、娘に会える機会でもありますし、何よりヨシノブに会ってみたい。」

「くく、お前は異世界に行ってみたい気持ちもあるだろう。」

ドレイク首相はレオが少しソワソワしているのを感じ、軽くからかうのだった。


「い、いや、まあそのな、ファンタジーな世界だぞ、見てみたいとは思うだろ?」

「たしかにな、さて、私はどうするべきか・・・」

ドレイク首相自身は行ってみたい気持ちもある。

しかし、国家を預かるものが自分達で帰ってこれない場所に行っていいものか悩む。


「レオ、政府の特使として私の親書を持っていってくれないか?

やはり国家を預かる首相としては異世界に行くことは出来ない。

招待状をくれたヨシノブさんにはくれぐれも丁重にお詫びしておいてくれ。」

「わかった、ヨシノブに伝えておく。」

ドレイクは悩んだすえ、行かない選択肢を選ぶのだった。


日本

「宮木総理、アメリカ大統領が来日なさるようです。」

「おかしいな会談の予定は無いのだが?」

「ですが、空港とホテルを確保しているみたいですが?」

「少し問い合わせてみるか。」


先日のトラブルもあり日本政府には招待状が届いていなかった。


「ヨシノブさんが結婚式をあげる?」

「ワシントン大統領は出席なさるようです。」

「私には招待状が届いてないが?」

「フユに確認を取ってみます。」

政府は慌ただしく、動き出す。


「ヨシノブさんの結婚式ですか?たしかにこちらで準備をしてますが?」

「フユくん、そういった事は何故報告をしてこないのかね?」

「私の職務は留学生のカズトくんの管理と思っておりました。」

「ま、まあ、それが主だった職務ではあるが、日本とヨシノブさんの関係改善も職務であろう。」

「えー・・・」

フユは明らかに嫌そうな顔をする。


「フユくん、何か言いたいのかね?」

「お言葉ですが、先日のモトキ氏の一件により、関係は最悪な状況かと思われます。

ここからの改善は一朝一夕でなるものとは思えません。」

「フユくんの言いたいこともわかる、だが何もしなければ状況が変わることもない。」

「わかりました、なるべく努力する所存にございます。」


「そこでだ、ヨシノブさんの結婚式に日本政府からも参加者を送りたい、招待状を出すように手配してくれんか?」

「・・・えっ?招待状が送られてないんですか?」

フユは更に困った顔をする。


「ああ、日本政府宛にも総理宛にも来ていない、アメリカ大統領が参加するというのに我が国から行かないと言うわけにはいかないだろ?」

「ですが、参加者の選定はヨシノブさんの決めることでは?」

「忘れているだけかもしれんだろ、フユくんがそれとなく伝えてくれればいいんだ。」

「・・・本当にするんですか?」

「してもらわないと困る。」

「わかりました、伝えることは致しますが、それ以上は無理です。

あとヨシノブさんに失礼な事をしないようにしてください。」

「わかっている。

フユくん、君に任せたぞ。」

ふゆは嫌そうな顔をしながらもヨシノブにこの話を伝えて、総理宛にも招待状を出してもらうのだった。

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