第559話 子供会、モトキを嵌める
時は少し遡り、モトキがヨシノブの元で我が物顔で暴れていた時にそれは行われていた。
「本日の議題は留学生、いや罪人モトキの対処についてだ。」
ヘルマンが述べた言葉に全員が真剣な表情になる。
「各自、被害状況の報告を。」
「各種備品を勝手に部屋に持っていっていました。」
「リミのお尻を撫でてるのを見たのよ。」
「言葉の節々におとうさんを馬鹿にしているのがうかがえます。」
「おかあさんにもおとうさんの悪口を言ってました。」
子供会の空気が冷え込んでいく。
「ハルくんにあったあと、バカの子はバカになるな、という暴言を吐いてました。
私としては死刑を要求したい。」
ローザの訴えに子供会の我慢を越える。
「ヤツを始末する、異義のあるものはいるか?」
「異議なし。」
誰も異義がない。
「ヘルマン議長、一つ難題があります。」
「パウル、何が問題だ?」
「おとうさんの慈悲がクソ野郎にも向けられる可能性があります。」
ヨシノブの優しさは子供達が一番理解している、悪口程度で死刑を許してくれるとは思えなかった。
「策を巡らす必要があるな、おとうさんがどうすれば死刑を許容するか・・・」
ただ単に始末するのは簡単だった、しかし、子供達が怒られず、おとうさんが納得する殺し方が中々見つからなかった。
「うにゅ!シモたちがやるから問題になるのよ、マックスに殺らせたらいいのよ!」
シモが名案のように提案する。
「マックスに殺らせるにしても、こちらから願い出れば借りを作る事になるし。」
「違うのよ、マックスが殺りたい気持ちにさせるのよ。
マックスは単純だからきっとすぐに殺るのよ。」
「マックスが殺りたいか・・・なぁ、カルラの物を盗らせるのはどうだ?」
「たしかにカルラの物ならマックスがキレて殺るな。」
カルラ不在の中、カルラの物が使用されることが決定事項になる。
「問題は何を盗ませるかだ。」
「下着でいいんじゃないか?絶対マックスは殺るぞ。」
「モトキがそれを盗るか?カルラのパンツなんて色気もないだろ?」
「そこ!問題発言だよ!カルラが聞いたら怒るよ!」
子供達からしたら、下着を含めた洗濯物は一緒に洗っていた、その為に目にする機会もあり色気など感じていなかった。
「そもそもモトキが自主的に盗らせなくてはいけない、僕達が手を出しすぎるとおとうさんに怒られる。」
子供達は更に検討を重ねる。
リミがふとカルラがマックスから贈り物を贈られたという話を思い出す。
「ねえ、マックスからアクセサリー貰っていたわ、それならお金になるし、盗むんじゃない?」
「いいアイディアだ、リミどれがマックスから貰った物かわかるか?」
「わかるわ、大きな宝石のついた物だから、間違えないわ。」
「よし、ではそれを掃除の時にでもモトキの部屋にわかるように置いてきてくれ。」
子供達の狙い通り、モトキがアクセサリーを盗み、売り捌いた事でモトキの死刑は確定する。
子供会は謀略を巡らせ、モトキを嵌めたのであった。
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