第487話 立ち位置

リズはリーナに小声で話しかける。

「リーナ少しは遠慮するべき、今、シリアのせいでマインズ王国とヨシノブさんの関係は微妙になっているのよ。」

「リズ姉さまは何を言っているのです?」

「だから、今は印象を悪くするべきではない。」

リズは現在なるべく刺激しないように静かに過ごしていた。


「リズ姉さまは間違っています。

もっとフトコロに飛び込まないとダメですよ。」

リーナはホッペタにクリームをつけながらリズに話す。

「ヨシノブさんはシリアさんの事で私達を責めることはありませんよ。

それに悪いことをしたら、誠心誠意謝るのです。

そうしたらヨシノブさんは許してくれるのです。」

「リーナ、国の関係はそんなに単純じゃないの。」

「単純ですよ。リズ姉さまもルクス兄さまも勘違いしてます。

今回の件も最初にヨシノブさんの所に来てごめんなさいすれば良かったのです。」

リーナはにこやかにケーキを食べながら言っている。


「もう、リーナは子供だからそう思うのよ・・・」

リズは否定しつつも考えてみる。

ヨシノブの性格的に他の人まで巻き込むことは嫌がるはず・・・


「リズ姉さま、変に交渉するより、真心で接する方がいい結果になるのですよ。」

「リーナ今の話、お父様に伝えてますか?」

「伝えましたよ、でも、リズ姉さまと同じで取り合ってくれませんでした。

う〜ん、美味しいです。」

リーナはケーキをもう一口、口に入れる。


「こうしてはいられないわ。」

リズは城に戻り父親のルーズに伝えようと動く。


城に戻ったリズはリーナから聞いた話をルーズに伝え、自分もその可能性が高いことを伝える。

「そんなことがあるのか?」

「ありえます、現にリーナは普通に歓待を受けていました、謝罪も済んでない今、リーナを歓待する理由はないはずです。」

「ふむ、子供の言うことと流していたが・・・」

「ヨシノブさんの人の良さならありえます。

まずは謝罪して、それから話せばわかってくれるかと。」

「よし、ワシ自ら行こう、ウインよ、何かあったときは跡を頼むぞ。」

「父上、そのような事を言うものではありません。まずは私から行くべきかと。」

ウインが名乗り出るがルーズは首を振る。


「王自ら行くから意味があるのだ、王太子のお主はその身を第一と考えよ。」

「父上!!」

ルーズとウインは別れを惜しんでいたが・・・


「何をしているのですか、あなた!そんな小芝居はいいですから、早く行きましょう。」

既に王妃イルーゼは出かける準備をおえていた。


「なぜお前が出かける準備を?」

「ヨシノブさんの御屋敷に行くのに何を悲壮感を出しているのですか、それこそ失礼です。

リーナのように自然な感じでいけば良いのです。」

「しかしだな・・・」

「あなた!それが出来ないならお城で待ってなさい、私が話をつけてきます。

リズ行きますよ。」

イルーゼはリズを連れてヨシノブの屋敷を目指し、ルーズはその後を追うのだった。

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