第480話 王都に集まり始める

「シリアが捕縛された?なにかの間違いでは無いのか?」

レンが王都に着くと王都の屋敷を預かる者がレンに伝えてくる。

「はい、それに伴いルクス様との婚約も破棄ということです。」

「そんな馬鹿な話があるか!ルクス様との婚姻の為にどれ程根回ししたと思っているんだ!」

「ですが・・・」

「くそっ、どうなっているんだ、まずは情報を集めるしかないか。」

レンは詳しい事情がわからないうちに動くの危険と判断して情報を集め始める、わかったのは最近ルーズ王が目にかけている者に対して無礼な対応をしてとの事だった。


「多少国に貢献した程度で長年尽くしてきたビザ家を蔑ろにする気か!」

レンは激昂する。

レン自身、領地の安定の為に領地に赴いていた為に、ヨシノブとは直接の面識はないが話は聞いていた、ルーズ王の病を救い、同じ病で苦しんでいた者たちも助けたと、だが所詮その程度、建国から付き従うビザ家が下なはずがない。


「陛下に直接願い出る必要があるな、それにはまず・・・」

レンはビザ家と付き合いのある貴族に連絡をとり、助力を願い出る。

多数の貴族の意見ならルーズ王も無視出来ないとの判断だった。


その頃、ルクスも王都に到着する。

ヨシノブの怒り具合がわからない為にまずは城に行く。

「父上、シリアの事についてお話に来ました。」

「ルクス、今回は残念な事になったな。」

「いえ、まだ、決まった訳ではありません。

一度話を聞き、対処出来るようならシリアを救いたいと考えております。」

ルーズはため息をつく、長年婚約していたのだ、ルクスの気持ちもわかるところはあった、しかし、シリアがしたことはあまりにも悪かった。


「ルクス、そなたの気持ちも解る、だからこそ判断を間違えるなよ。」

ルーズはルクスにシリアがしたことを伝える。

話を進めるごとにルクスの顔が青くなっていく。

「本当にシリアの話なのですか?」

ルクスには信じられなかった、ルクスから見るシリアは身分に関係なく民を大事にする、慈愛に満ちた女性の筈だった、まさかヨシノブ達から船を奪おうとするなんて・・・


「事実であろう、ヨシノブが首をはねなかったのはお前に対する気遣いからだ、ワシとしても罪人として処刑するか迷うところではあるが・・・」

ルーズは残念そうにルクスを見る。

ルーズもルクスを気遣い処刑していないのだ。


「ご配慮感謝致します、私のとる道が決まりました。」

「聞いておこう、もし間違っているならワシはお前を止めねばならん。」

「はい、ヨシノブと話して命だけは助けてもらえるように謝罪してきたいと思います。」

「うむ・・・」

ルーズは渋い顔をする・・・

「父上と国に迷惑はかけません、あくまでも友人として謝罪するのです、ヨシノブならわかってくれる筈です。」

「ヨシノブのことはそなたがよく知ってるおるからのぅ・・・

わかった、許可しよう、だが無理な交渉はするな、ワシとしてはヨシノブが望むなら処刑及びビザ家の廃絶まで考えておる。」

「父上のお心、理解致しました。

つきましてはシリアにも謝罪させたいのですが面会と一時的な釈放をお願いできませんか?」

「逃さんと約束出来るなら許可しよう。」

「勿論にございます。」


ルクスは深く頭を下げ、一度シリアに会いに行くのだった。

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