第474話 ついに・・・
王都に関係者が集まっている中、それは起きた・・・
「おい、今日の揺れはひどくないか?」
「早く収まってくれよ・・・」
ズムの住人達は地震に対して慣れて来ていた、その為、収まるのを待っていたのだが・・・
この日は違った、クシズ山の上部が吹き飛ぶ大爆発を起こしたのだった。
「ひぃ!何だアレは!」
「こ、この世の終わりだ・・・」
「おい、こっちに来てないか・・・逃げろ!」
ズムの住人は逃げ惑う、どうしていいのか何処に逃げればいいのかわからぬまま右往左往している間に街に火砕流が到着して
全ての物を飲み込んでいく。
そして、それは領主代行をしていたクベも同じだった。
「あれがヨシノブ殿が言っていた噴火か・・・
いかん!全員海に逃げろ!」
クベは最低限の荷物を持ち、港に止めてある、ビザ家所有の船を目指す。
火砕流が迫る中、なんとか船に乗り込み、陸から離れる事に成功した、しかし・・・
「荷物はどこだ!」
クベは船に乗り込んだあと荷物を確認する。
「クベ様、荷物は・・・」
たずねられた兵士は港を指差す。
「な、なんだと!戻せ、船を戻すのだ!」
「なりません!今戻ると住人達が乗り込んで来て、動きが取れなくなります。」
兵士の言うとおり、火砕流から逃げてきた者達が港に集まってきており、停泊している船に無理に乗り込み、沈む船も見かけられる。
「だが、あれにはシリア様の婚姻の時にお持ち頂くものが・・・」
「お気持ちはわかります、ですが、今は生き延びることを考えてください!」
「くっ、あれは良いものだったのだ・・・王家に献上出来るほどに。」
クベはシリアが王家に嫁ぐ時に恥をかかぬよう、長年をかけて準備をしてきていた。
その苦労を今失ったのだ。
クベは落胆のあまり膝をつく、だがそれもすぐに終わった、港にいた者たちが火砕流に巻き込まれ、姿を消した・・・
「なっ・・・」
クベは言葉を失う、さっきまで多くの人が港にいたのだ、だが今はその姿を見ることは出来ない。
「早く船を遠くに!」
「急げ!」
船内は慌ただしく水夫たちが走り回っている。
火砕流が船まで届くことは無いが、火山弾が降り注いでいるのだ、何隻かの船は炎上して足を止めている。
「助けてくれ!」
「この世の終わりだ・・・」
「うるせぇ、嘆く暇があるならさっさと沖に行くぞ。」
船長は一喝で、嘆く船員達を鼓舞して沖に向かい船を出す。
船長の努力のかいも有り、クベの乗る船はクシズ山の噴火から逃れる事が出来た、しかし、沖から見える光景は流れ出るマグマで火の海と化しているクシズ山とズムの街であった・・・
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