第460話 子供達の船

「デーニッツ、お前たちが船を動かせるのはわかるけど・・・」

「おとうさん、僕達にも任せてください!」

今まで海は全てヨシノブ自身かショウが動いていた、デーニッツ達も他の仲間のように手伝いたくて仕方なかったのだ。

彼らは決死の熱意をヨシノブに伝える。


「・・・わかった、住人の輸送を任せるけど、シモ、鬼さんをこの子達の護衛につけてもらえるかな。」

「わかったのよ、酒呑さんこちらにくるのよ。」

「姫様お呼びですか。」

「うにゅ、何人かシモの兄弟の護衛についてほしいのよ。」

「酒呑さん、船の中で誰かが暴れても取り押さえられる人数を貸してもらえないかな?」

俺は言葉の足りないシモの補足をする。

「かしこまりました、茨木童子以下20名を船に配備いたしましょう。」

「ありがとう、いつも世話になっててすまないね。」

「御父君、お気になさらず、我等の喜びは姫様の喜ぶ姿ですので、これからも御父君には姫様を宜しくお願い致します。」

「酒呑さんに言われなくてもシモは俺の子供だからね。」

「これは出過ぎた真似を致しました、どうかご容赦を。」

「怒ってはないから、でも他に希望があれば何でも言ってくれるかな?

できる限り御礼したいと思うよ。」

「何かございましたら、その時お願い致します。では、準備に入らさせてもらいます。」

酒呑童子は茨木童子に声をかけ、乗艦に備える。


シリアのショウの船に乗りたくないという希望は悪い形で叶えられたのだった。


「シリアさん、この子達がルクスの領地までおくってくれます。」

俺はデーニッツ達をシリアに紹介する。

「まだ子供ではないですか。」

「子供でもちゃんと訓練を積んでいますから大丈夫です。」

「ですが・・・」

シリアは不安そうな表情を浮かべる、まさかショウより子供が出てくるとは思ってもみなかった。


「シリア様、少しお話が・・・」

シリアと一緒に来ていた側近の一人がシリアを別室に連れていき進言する。

「かの船は他に見たことのない船にございます。かの船を手に入れたらビザ家の繁栄は間違いないかと。

そして、あの子供達をこちらの味方にすれば労なく手に入るのですぞ、また、味方せぬと言うなら力強くで捕縛してしまえば簡単に手に入ります。

このまま、彼らに送ってもらいましょう。」

「それは信義に欠けます、私は認めるつもりはありません!

・・・ですが、不慮の事はありますね。」

「お任せを姫様は何もお知りにならない、そういうことにございます。」

側近は黒い笑顔を浮かべている。

何も知らずに・・・


話し合いをおえ、ヨシノブの元に戻る。

「ヨシノブさん、彼等の船で送ってもらえますか?」

「わかりました、デーニッツ頼むよ。ルクスのところまでシリアさんを送ってあげて。」

「はい!任せてください!」

デーニッツ達は敬礼をして任務は受けるのだった。



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