第440話 少し前の基地
ヨシノブが倒れる前、基地では・・・
ヨシノブの子供、ハルノブの前にアキラが来ていた。
「アキラさん、見てください、私とヨシノブさんの赤ちゃんです。
ハルノブ、アキラさんにご挨拶出来る?」
「あ、あーあー。」
ハルノブは両手を広げてアキラに抱きつこうとしていた。
「あら、アキラさんの所にいきたいのかな?アキラさんダッコしてもらってもいいですか?」
「うむ、ほれハルノブや、こっちにおいで。」
アキラも目尻を下げ、ハルノブを抱きかかえる。
「きゃ、あー♪あー♪」
アキラに抱きかかえられたハルノブは上機嫌になっていた。
「ふむ、可愛らしい赤子じゃのう。」
「じいちゃん程々にしとけよ、加減を間違ったらいけないからな。」
アキラをリョウが茶化す。
「うるさいわ!」
「ふぇ・・・」
アキラの大きな声にビックリしたハルノブは泣きそうになる。
「おーヨシヨシ、リョウが怒らすからハルくんが泣きそうになったじゃないか。」
「へいへい、私が悪いんですよ。」
二人のやり取りをサリナは微笑ましく見ていた。
「ふむ、サリナさん、ハルくんを婆さんに会わせたいのじゃがどうかのぅ?」
アキラはふと変わった事を言い始める。
「お祖母様にですか?」
「ああ、きっと婆さんも可愛がってくれると思うんじゃ。」
「そうですね、お見せするぐらいなら、アキラさんにはいつも子供達を含めてお世話になってますし。」
「そうか、なら話は早いすぐに行こうじゃないか。」
「えっ?今すぐですか?」
「そうじゃ、善は急げと言うからのぅ。」
アキラはハルノブを連れて通信室に向った。
それをリョウとサリナが追いかけるのだった。
「婆さんや、ほれ見てみ、かわいい男の児じゃぞ。」
アキラはテレビ電話越しにリョウの祖母でもある妻のテルにハルノブを見せる。
「爺さん、どこの赤子を攫って来たのですか!」
「攫ったとは人聞きの悪い、ヨシノブの子でワシの孫じゃ。」
「私が知る限りヨシノブって子供はいないのですけどねぇ。」
「些細な事じゃ、それより見てみよ、かわいいではないか。」
アキラはよく見えるようにカメラの前にハルノブを置く。
するとカメラが気になったのかハルノブはカメラに手を伸ばす。
「か、かわいいのはわかりました。それでその子の親御さんはどこですか?」
「ヨシノブは雑務で出掛けておるが、母親のサリナさんはここにおるぞ。」
「それなら爺さん、サリナさんに代わりなさい。」
テルはアキラをどかし、サリナに挨拶する。
「うちの爺さまがお世話になってます。アキラの妻のテルです。」
「いえいえ、私達こそお世話になってます。
子供達もみんなアキラさんに教えてもらって助かってます。」
「子供達?」
「はい、私と夫のヨシノブさんの所に沢山の養子がいますのでその子達に剣の指導をなさってくれてます。」
「あの爺さまが指導ねぇ・・・サリナさん、何か困った事があったら何でも言うんですよ。」
テルの表情からは不安な顔が見える。
「大丈夫です。アキラさんは良くしてくれてますよ。」
サリナは笑顔で答える。
「そうじゃ、婆さんも一度こっちに帰ってこんか?」
「アキラさん何を?」
「なにリョウが帰る術を持っておるしのぅ、ちょっと来るだけじゃ。」
「そんなに簡単に帰れないんじゃ?」
サリナは不思議そうに話すも・・・
「いや、それがね、爺ちゃんが連れてきた四獣の力で往復ぐらいは出来そうです。」
リョウが答えるが・・・
「リョウさん!それならアズサさんの所に帰るのが先じゃないですか!
みんな心配してましたよ!」
サリナはリョウを叱る。
「いや、ほらヨシノブ一人だと色々大変だろ?
俺も手伝ってやらないと。」
リョウは焦りながら言い訳を始める。
「確かにリョウさんがいて助かってはいます。
ですが、リョウさんがいなくて寂しい想いをしているのですから一度帰って来てください。」
「はい、わかったよ、婆ちゃんを迎えに行く時に一度帰るよ。」
サリナの剣幕に負けリョウの一時帰国が決まるのだった。
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