第438話 応急処置

いずもに緊急搬送されたヨシノブは即座に輸血が開始される。

「くそっ!傷がふさがらない!」

手術により傷を縫い合わせるも出血が止まらない。

「どうしたら・・・」

ショウは頭を悩ませる。


「そうだ、ショウ兄、浴槽にポーションを入れてそこにおとうさんを入れたらキズがふさがらないかな?」

カルラは思いついた事をショウに伝える。


ポーションを振り掛けた瞬間は確かにキズがふさがる。

そしてポーションの効果が切れるとキズが広がるのだった。


「よし、それでもいく、すぐに浴槽を用意して!」

子供達は急いでいずもの浴槽にポーションを溜める。

そして、ヨシノブを浴槽に入れるのだった。


「おお、キズがふさがった!」

全員が少し安堵する。ただこれは応急処置であり、完全な治療を見つけるまでの時間稼ぎにしかならない、しかもポーションが少しずつ減るため、大量のポーションの確保と浴槽の管理が必要になる。

また、ヨシノブが溺れないように支えておく人もいる。

「おとうさんは私達が見てます。」

カルラを含めて女の子達が名乗りでる。

「いや、俺達もおとうさんの面倒をみるよ。」

オットー達も立候補するものの、

「ガサツなあなた達がおとうさんの面倒をみれる筈がないでしょ!

もし、何かあったら取り返しのつかない事になるのよ!」

カルラにきつく言われてオットーは静かになる。


「それじゃヨシノブさんはカルラに任せて他はみんな集まってもらえるかな?

今後の話をしよう。」

ショウはそう伝えてみんなを会議室に集める。


「みんな、救助活動は途中だけど一度停止して基地に戻る。」

ショウは主だったメンバーを集めて伝える。

「もちろんなのよ!」

「当然です。」

子供達もみんな了承する。


「一応、関係者に伝えてすぐに乗艦するものは連れて行くけど、それ以外は置いていく。

これは僕の判断だから、もしヨシノブさんやルクスさんに責められた時は僕の名前を出していいからね。」

ショウは自身の責任であることをみんなに伝えた。

場合によってはシリアやズムの街を見捨てる選択になる。

ヨシノブやルクスと子供達の間に溝が入らないように配慮するのだった。


「大丈夫です。ショウ兄だけの責任じゃありません。

おとうさんが生死の境にいるんです!

何より優先すべきはおとうさんの身体です。」

子供達みんなも頷く。

全員怒られる覚悟は出来ていた。


「それではポーションを分けてもらった人を優先に話を回してもらえる?

あと、シリアさんにも伝える必要があるね。」

シリアの名前が出た時にパウルは嫌そうな顔をする。

「パウル、気持ちはわかるけどルクスさんの婚約者なんだ、話をせずに撤退はできない。

何せ次にいつ来れるかわからないからね。」

ショウは山を見つつ、本格的な噴火が起きる前にもう一度訪れる事があるかわからなかった。


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