第428話 平穏は・・・
エーリッヒはオットーを連れて帰ってきた。
「エーリッヒ、早かったね?どうした被害は少なかったのかい?」
ショウはエーリッヒにたずねる。
「それが向こうの騎士に怪しまれたから捕縛される前に撤収してきたんだ。」
「そうか、それなら仕方ないね。
無理をしない。それがヨシノブさんとの約束だからね。」
「うん、でももう少し助けれそうだったんだけどなぁ・・・」
オットーは少し悔しそうにしていた。
「仕方ないよ、それより、朝の爆発でこちらの住人も混乱が増してるみたいだ、手が空いたなら炊き出しと配布の子達の護衛に回ってもらえる?」
「わかったよショウ兄。」
オットーは元気よく配布している施設に向った。
「ヨシノブさん、早く帰ってきてくださいよ。」
ショウは噴火の恐怖と子供達の命を預かる責任の重さに胃が痛い思いをしていた。
その頃、
ズムを目指していたナブルはバオアに来て、レンに謁見していた。
「ふむ、治安維持の為に鎮撫しておるのか。」
「はい、ズル様の命令を受け、領内の混乱を鎮めております。」
「さすがはズルだ、ナブルよ引き続き命令を実行するのだ。」
「お任せあれ。」
ナブルはレンに報告したあと、学生時代の同期、ルマと会う。
「ナブル!来てたのか。」
「ああ、ルマ、久しぶりだな。」
ルマは訪ねてきた友人ナブルを歓迎する。
そして、二人で食事をしながら旧交をあたためていた。
「ナブルがズル兄様の所に行ってしまったから中々合う機会が減ってしまったからな、しばらくバオアにいるのか?」
「いや、明日にはバオアをたち、ズムに向かいながら周囲を鎮撫していこうと思う。」
「ほう・・・それは素晴らしいな。
私はズムの現状を知っていながらこの地に留まり何も出来ていない、ビザ家の者でありながら情けない・・・」
ルマの表情からは悔しさが滲み出ていた。
「それならルマも一緒に行かないか?
やはり、住人を鎮撫するのにビザ家のルマがいるほうが住人も安心出来るだろう。」
「そうか!・・・いや、それはナブルの手柄を横取りするようなものだろう。」
ルマはナブルが一軍を率いて功績を立てる機会を奪う事に躊躇する。
「何を言っている、俺とお前の仲じゃないか。ルマの功績は俺の功績と同じだよ。
それに友として一緒に任務に当たるのも悪くない選択だ。」
「ナブル・・・やはりお前は俺の生涯の友だ。
兄にすぐに一緒に行けるよう頼んで来る。
少し待っててくれ!」
ルマは嬉しさに涙を浮かべて、勢いよく部屋を出てレンの元に急いだ。
その姿をナブルは少し寂しそうに眺めていた・・・
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