第424話 面会

「えーと、私がヨシノブで間違いはありませんがあなたは?」

「申し遅れました、私はスコール公爵様配下のロベルトと申します。」

ロベルトは俺に敬礼をしていた。

「アランさんの配下の方でしたか、ここにはどのような要件で?」

「はい、こちらとは鉱物の取引を行っていまして、定期的に使者を出し、話し合いを行っているのですが、ヨシノブ殿はどのような要件で?」

「私はそこの山の噴火について避難を知らせようかと。」

俺はクシズ山を指差し伝える。

こちらから見るクシズ山は煙こそ立ち上るが、マグマは見えず、一見大丈夫そうには見えたが、こちらに降り注ぐ可能性が無いとはいえない為に避難を伝えておきたかった。


「ふむ、山の噴火というのはよくわかりませぬが、領主にお会いしたいのなら私が口利きを行いましょう。」

「ありがとうございます。それは助かります。」

「いえいえ、この程度、当家が受けた御恩と比べれば何ということもありません。

さあ、参りましょう。」

俺はロベルトと共に領主館に向かう、ロベルトがいることで中に入ることに成功する。


「ロベルト殿よく来てくださった。

うん?そちらの方は?」

領主であるライトは見慣れぬ俺が気になり質問してきた。

「こちらの方は我が公爵としては大恩ある方でヨシノブ殿です。

ライト殿もお見知りおきを。

ヨシノブ殿こちらがこの街を治めるライト殿です。」

ロベルトは俺とライトを引き合わせる。


「スコール公爵家の恩人ですか、それなら丁重にお迎えしなければ失礼になりますな。」

「はじめまして、ヨシノブと申します、ライト殿には至急お知らせしたい事がありまして参りました、どうかお聞きくださいませんか?」

「至急ですか?どのような事でしょう。」

「この街の横にあるクシズ山が火を噴いている事は知っておりますか?」

「噂話程度なら、ズムの街に灰が降り注ぎ、山より消すことの出来ない火が街に迫っておるとか。」

「その通りにございます、しかし、その話はズムの街だけの話ではないのです。

いつ同じような、いやもっと酷い事が起きてもおかしくないのです、どうか住人の避難を検討して貰えないでしょうか?」

「・・・避難ですか?」

「はい。もし何かあれば街が火に包まれてしまいます。どうか検討を。」

「いや、すぐに避難と言われましても避難先から始まり準備に時間がかかります。

直ちにと言われても無理ですな。」

俺も考えるがズムの街の避難を進めている以上、こちらに手を貸せる余裕は無かった。

話し合いはこれで終了かと思ったが・・・


「それなら準備だけでも進めてもらいたい、本当にいつ噴火が始まるかわかりませんから。」

「準備なら・・・ロベルト殿の顔を立ててお約束しましょう。」

俺の予想と反してライトはあっさりと引き受ける。

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