第423話 ティエラ連邦

俺はヘリに乗り、山に計測器を設置していく。


設置に集中したい為に運転しているのはエーリッヒだった。

「おとうさん、これ以上高度は下げれません。」

「充分だ、今設置する、エーリッヒは山に注意してくれ。」

俺達は噴火に警戒しつつ、俺の能力が届く範囲まで、ヘリを下げ、ヘリから降りる事なく機器を設置していた。


すると山の反対側にも街があることに気付く。

「おとうさん、街がありますよ。」

「そうだね、まずは計測器を取り付けてからシリアさんに聞いてみるか。」

俺達は計測器の準備をしたあと、街に戻り、シリアに反対側の街について聞く。


「反対側の街はティエラ連邦政府に属する街でジャブという街ですね。」

「すまない、ティエラ連邦という国はどんな国なんだ?恥ずかしながら知識がなくてね。」

「ええ、ティエラ連邦政府は私達のマインズ王国とは現在休戦状態にある国です。」

「休戦とは穏やかではないね、終戦まで至っていないということですか?」


「・・・はい、昨年、私の父であるギンが停戦条約を結びに国境に向かった所、交渉中に爆発が起き、父の命が・・・

それなのにティエラ連邦は爆発を知らないと。

その上、連邦の使節も死亡した、責任は我らにあると・・・

我が国の民はその態度に憤りを感じております。」

話すシリアの雰囲気から怒りを感じる事が出来た。


「なるほど、複雑な事情があるのはわかった、でも、山の噴火なんだ、向こうの住人にも避難を呼びかけるぐらいはさせてもらうよ。」

「私としては向こうの民がどうなっても知らないと言いたいところですが・・・

ヨシノブ様にとっては違うのでしょう。

こちらから口を挟んだりはいたしません。」

「ごめんね、でも、政府の要人ならともかく、住人まで被害に合うのは見過ごしたくない、避難勧告だけは伝えておくよ。」

俺はシリアに一応の許可を取り、反対側の街ジャブに向かった。


「領主様にあわせろだと?いきなり来て会える筈がないだろう。

さっさと帰れ。」

ジャブの領主館の前にやってきたものの、まともに相手にされなかった。


それもそのはず、ティエラ連邦とは今まで関わりがない、いきなりやってきても門前払いも仕方ないだろう。

「街の有力者に頼んでみるか・・・」

俺は領主が無理なら、商売をやっている人なら多少話を聞いてくれるかもと、門から離れようとすると。


「お待ちを!そこにおられるのはヨシノブ殿ではありませんか?」

呼び止められ振り返るとそこには見慣れない男が立っていた。

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