第405話 近衛騎士団

俺達の主力が屋敷に下がったあと、マインズ王国騎士団の戦闘は続いていた。


「ふむ、敵の圧が弱くなったぞ!殲滅まであと少しだ!」

マックスは部下に檄を飛ばしつつ、前進を続ける。

しかし、騎士団も無茶な攻撃を繰り返していた為に力尽き動けなくなるものも出ていた。


「立て!貴様はそれでもロリコン(騎士)か!」

マックスは遂に本音と建前が逆になっていた。

しかし、マックスの言葉に立ち上がろうとするものの、疲労困憊の騎士たちの動きが悪い。

「こんな所で足止めとは、カルラさんは目の前なのに・・・」

マックスにはカルラがいる屋敷しか見えていなかった。


「ネルソン、加勢するぞ。」

マックスが暴走する中

王都から新たな騎士団が現れる。

それはビルバイン率いる近衛騎士団だった。


「ビルバイン、お前は王族を護るのではないか!

ここはマックスに任せて国王陛下をお護りするんだ!」

「ああ、護っているとも。」


「マックス、ネルソン、ここまで見事な働きだ、よく王都を護るために戦ってくれた。

騎士団よ、誇るがいい!そなた達のおかげで王都は無事だ。

近衛よ、マインズ王国に弱者無し、我に続け!」

ビルバインの後ろには国王ルーズ自ら近衛騎士団と共に戦場に現れていた。

「父上はお下がりを、前線に立つのは私の役目です。」

ルクスは先陣を行こうとするルーズを引き止め、自ら先陣に立つ。

ルクス自身もアキラの訓練を乗り越えており、戦闘力を向上させていた。

魔物の残党程度に遅れをとることはない。


ちなみに王太子ウインは後継者ということで城に閉じ込められていた。


「ビルバイン続け!」

「はっ!」

ルクスに並走しつつ、ビルバインは魔物を葬っていく。

ルクス自身もビルバインに負ける事なく魔物を倒していく。

「ルクス王子、腕を上げましたな。」

「ヨシノブの所にいれば自然と実力がつく。」

「違いないですな!

ですが、王族の方が戦場に出るのは些か危険かと!」

「俺は第二王子だから大丈夫だ、だが父上は城にいるべきだろ。ビルバイン何故止めなかった?」

「陛下は国民が傷つくのを黙って見ていられない方なのです。

騎士団の苦戦を見て、手の空いている騎士団が近衛だけとわかった瞬間に鎧を準備されて・・・」

「それでも、止めるべき、だっ!」

ルクスは前線で剣を振るいながらビルバインと共に魔物を倒していく。


王子であるルクスの活躍は近衛騎士団の士気を高める。

前線で戦う騎士達からルクスへの賛辞は止まる事が無かった。


ちなみにルーズ王は活躍の場を奪われ、寂しそうに後ろから進軍について来ているのだった。

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