第395話 連戦

イゾウを倒し、前に進む俺達の前に怨霊のような姿の者が立ちはだかる。

「何だこれ?」

「・・・コロス・・・アキラ・・・ユルスマジ・・・」

過去にアキラに殺されたアアだった。


「はぁ、アキラさんの関係者か・・・」

俺はため息が漏れる。

「リョウ、孫のお前が責任取れ。」

「やだよ、爺さんの孫はシモちゃんだ、なら親のお前が相手しろよ。」

「いやだ、何か気持ち悪い。」

俺はハッキリ断る。


「俺もやだよ、気持ち悪いのは同じだ、お前は親に教わらなかったのか?

自分が嫌な事を人にしてはいけないと。」

「それとは違うだろ、お前こそ敵を人に回していいのか?

祖父はそんな教え方をしたのか?」

「爺さんは関係ないだろ!」

「桐谷流の後継者が敵前逃亡なんて知ったら、祖父はどうするんだろうなぁ・・・」

「くっ、卑怯者が!」

「なんとでもいえ、さあ戦え!」

俺とリョウは互いに押しつけ合いをしている。


「うにゅ?おとうさん敵さんが魔力集めてるのよ?」

シモは俺の袖を引っ張りながら言う。

「マズっ!」

俺は慌ててアマテラスの加護で迎撃する。


互いの間に爆発が起きる。

そのスキにリョウは間合いを詰めて斬りかかる。

しかし・・・

「なっ、すり抜ける!」

リョウの刀は敵を捉えるも刀がすり抜けていた。


「本当に亡霊かよ・・・」

「幽霊さんなのよ!おへそ隠さないととられちゃうのよ!」

シモは何を勘違いしたのかおヘソに手を当てて隠している。

「シモ、亡霊さんはおヘソをとったりしないよ。」

「・・・とらないのよ?」

俺の言葉にシモは首をコテッと傾ける。


「取らないよ。」

「うにゅ!それなら怖くないのよ!亡霊さん、かかってくるのよ。」

おヘソを隠していた時とは違い勇ましく刀を構える。


「ニクタラシヤ・・・アキラ・・・」

アアは周囲を見回しながら時折攻撃を放つだけだった。


「あれ、何してるんだ?」

「爺さんを探しているのでは?」

俺とリョウはアアを観察するものの、明確な攻撃意識がなく、彷徨うアアをどうするか検討する。


「ヨシノブ、アマテラスの加護で消しちまうのはどうだ?」

「さっき無理に捻り出したから、少し時間がほしいかな?」

「使えねぇ〜」

「やかましい!桐谷流に何かないのか?」

「あるけど、アレに飛び込むのか?」

「飛び込めよ。」

リョウが嫌がっているには訳があった、先程からアアが立っている位置が汚染されヘドロの沼のようになっていたのだった。


「なあ、せめて足場ぐらい何とかしてくれよ。」

「少し待てよ、捻り出すから。」

俺は加護の力を振り絞り、アアの身体までの道を作り上げた。


「いけ、リョウ。」

「言われなくても!桐谷流奥義、彼岸花!」

「ぎゃあぁぁぁぁぁ・・・」

リョウの刀はアアの体を斬り裂くのだった。

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