第388話 足を止められる

「デカい竜だ・・・ヤマタノオロチいけるか?」

リョウは急に現れた巨大な竜を見てヤマタノオロチにたずねる。

「誰に物を言っている、たかが頭が一つの竜に我が負ける筈がない。

リョウはそこで指を咥えて見ていろ。」

ヤマタノオロチはアーロンが呼出した神竜ブレザに向っていく。

すると、ブレザは風を束ねて槍としてヤマタノオロチに放つ。


「この程度!」

ヤマタノオロチは頭の一つが風の槍を横から食らいつき、打ち消す。

「ほう・・・見慣れぬ竜だが、中々やるようじゃの。」

ブレザはヤマタノオロチに反応を示す。

「なんだ、口が聞けるのか、でかくなりすぎて脳が退化しておるのかと思ったぞ。」

「ふん、ワシがおらん間に礼儀を知らぬ竜が増えたみたいじゃな、礼儀を教えてやるからかかってこい。」

ブレザは挑発するようにヤマタノオロチを煽る。

「言われずとも!」

ヤマタノオロチはブレザの挑発にのり、戦闘を開始する。


神竜と呼ばれたブレザを相手にヤマタノオロチも互角な勝負を繰り広げ、簡単に決着はつきそうになかった。


ヤマタノオロチの足が止まる中、孫行者が最前線を駆けていく。

「おら!どけどけ!斉天大聖様のお通りだ!」

「ここより先に行かせるわけにはいかん。」

孫行者の前に魔王の副官だったアイギが立ちはだかる。

「中々の腕のようだな、名を聞こうか?」

「アイギ、魔王様の副官にして最強の剣なり!」

「最強か・・・おもしれぇ、やり合ってみるかい?」

「良かろう、魔王様に仇なす愚かさを思い知らせてくれる。」

アイギは剣を構える。

「いいね、強者の雰囲気を持っているな、俺は斉天大聖孫悟空、お前を倒すものだ。」

「言うだけなら誰でも出来る。」

「そうかい!言葉だけか味わってみな!」

孫行者は横薙ぎの一閃を放つもアイギは難なく受け止める。

「いい腕だ、傲慢な態度も納得できるな、だが上には上がいると教えてやろう。」

アイギは受けた如意棒に剣を滑らせながら一気に間合いを詰める。

「おっと、早いな。だが、迂闊な!」

孫行者はカウンターに蹴りを放つが、すんでの所でかわされてしまう。

「おや、誰が迂闊なのですかな?」

アイギはまだ余裕そうに孫行者を見ていた。


「おもしれぇ、俺を怒らせたんだ、てめぇはもう殺す。」

「やれるものならね。」

孫行者とアイギの一騎討ちは激しさを増していくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る