第324話 マックス訪問
「マックス伯爵、警備依頼ありがとうございます。
私はヨシノブから留守を預かる、リョウと言います。」
訪ねて来たマックスにリョウが応対する。
「うむ、カルラさんが非常事態と言っていたからな、すぐに動けた第2騎士団に来てもらった。安心してもらいたい。」
「ええ、精強で名高いマインズ王国の騎士団に来てもらい屋敷の者も安心しております。」
「リョウさん、マックス様、お茶をお持ちしました。」
リョウはマックスと縁のあるカルラに接客を任していた。
「おお、カルラさん、手はあきましたか?」
「ええ、少しだけですが・・・」
「それはよかった、今回来ている騎士団にはカルラさんの命令を聞くように伝えてあるので、好きに使ってください。」
「そ、そんな、私の命令なんて・・・」
「かまいません!」
マックスが熱っぽく語る中、サリナも部屋に入ってくる。
「マックス様、カルラが困ってます、騎士団の方に命令なんて恐れ多い事をカルラには荷が重いですよ。」
「こ、これはサリナさん、お、お邪魔しております。」
マックスは急にしどろもどろになる。
「緊張しないでください、いつも主人と娘がお世話になっております。
今回も心配していただき感謝いたします。」
「い、いえ・・・自分の方こそ、カルラさんにお世話になっているというか、心が救われているというか・・・」
「おかあさん、まずは椅子に座っていてください。」
マックスと話しているところにカルラは慌てたように椅子を持ってくる。
「カルラ、少しぐらい大丈夫ですよ。」
「でも!でも!何かあったらいけないんだから、まずは座って!」
「もう、心配性なんだから・・・マックス様、失礼して座らせてもらってもいいでしょうか?」
「ええ、私に気にせず座ってください。」
サリナが椅子に座るのを見てカルラは胸を撫で下ろす。
「カルラさん、サリナさんは何処かお身体が優れないのですか?
それなら、王都一の医者を連れて来ますが?」
「あのですね、おかあさん子供を授かっているのです。」
「なんと!それはめでたい。知らぬ事とはいえ、祝辞が遅れてしまい申し訳ない。」
「お恥ずかしい、まだ授かったばかりですので・・・」
「いや、それこそ私の相手などせずにお身体を大事にしてください。」
「そうはいきません、主人の留守中を守るのも妻の役目ですので。」
「おかあさん、そういうのはリョウさんや私達がするから今は安静にしてよ。」
「カルラさんの言うとおりです。屋敷の警備は騎士団が行いますのでどうか安心してお休みください。」
マックスは自身の胸を叩き、外に向かっていった。
「あ、あのマックス様、少しはゆっくりしていかれたら・・・」
サリナが引き止める声は聞こえていないようだった。
「おかあさんはゆっくりしていてください。
お見送りは私がします。」
カルラが追いかけるようにマックスを見送りに行くのだった。
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