第298話 帝国と交渉
「おかあさんの匂いなのよ・・・」
シモは俺に抱きついたあと、サリナにも抱きつき、そのまま安心するように眠りについた。
「改めて娘がお世話になりました。」
「私はただ滞在を許しただけだ、それより一度帝都からの使者に会ってもらえぬか?」
「それぐらいならいいですよ、サリナ俺はソックスさんと話し合いをしてくるからシモの面倒を頼むよ。
アキラさん、サリナとシモを宜しくお願いします。」
「近づく者を首にすれば良いのじゃろ?
簡単だな。」
「・・・何か好戦的になっている。
ソックスさん、絶対に近づけないように、あの爺さんは本当にしますよ。」
「わかっている、遠巻きに兵士に警備させよう。」
どうやらソックスはアキラの恐ろしさを理解しているようだった。
俺はパウルとオットーを護衛にリョウと一緒に使者と会う。
「こちらが使者のトロイだ。」
俺はトロイと挨拶をかわし、事情を聞く。
「つまり、シモ達が倒した相手が有名な賊だったから褒賞を出したいと言うこと?」
「そうです、親のあなたが代わりに受けてもらえませんか?」
「うーん、他国の褒賞を受けると面倒になりそうなんだ。」
「もしかして、他国に仕えておいでですか?」
「違う違う、俺は一応王を名乗っているんだ、マインズ王国とローラン王国には認められている。
ここでヒンメル帝国から恩賞を受けると他の国とも関係がおかしくなるだろ?」
「これは失礼しました!他国の王と思わず、非礼をお許しください。」
トロイは即座に頭を下げる。
平民の親として扱っていたのだ、礼儀としては大きく間違っていた。
「それはいいよ、礼儀は面倒だからね、それより、そういう事だから褒賞は辞退させてもらうよ。」
「ですが、他国の姫様が我が国の賊を討ち滅ぼして頂いたのです、何か別の贈り物で姫様の栄光を讃えねばなりませぬ。」
「そんなに固く考えなくていいよ、あの子も栄光や、褒賞欲しくてした訳ではないだろうし、そうだろリョウ?」
「そうだね、帰る道の邪魔をしたから蹴散らしただけだ。」
「そういう事だから、もしそれでも気にするなら、この地にだすルーカス商会の店に便宜をはかってくれないか?」
「そのような事でいいのですか?」
「たぶん貴族がゴタゴタ言ってくるから、貴族特権をその店、関係者への適用を禁止して欲しい。」
「わかりました、必ずや陛下に奏上します。」
「では、私達は帰りますので。」
「お待ちを!連絡は何処にすればよろしいのか?」
「ここに出来る店か、マインズ王国の王に連絡をいただければ、私にまで届きますよ。」
「かしこまりました、この度はお時間をいただき感謝致します。」
「今後、良き付き合いが出来るよう、祈ってます。」
こうして俺達はヒンメル帝国をあとにして、家に帰る事にしたのだった。
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